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「つながり」を大切に

リエゾンアカデミー 助教 安村美里(2015年9月)

左列の手前から2番目が筆者。韓国に学会発表に行った時の写真です。

左列の手前から2番目が筆者。韓国に学会発表に行った時の写真です。

 私が初めて脳の不思議にふれたのは、高校生の時にテレビで見た「記憶が失われた時...~ある家族の2年半の記録~」(1996、NHK)というドキュメンタリー番組でした。術後の栄養管理が原因で前向性健忘症になってしまい、1時間前の出来事すら記憶することができない人がいることを知り、脳の機能に興味を持つようになりました。大学と大学院修士課程では理学部で化学を専攻しましたが、将来の進路を色々と考えていた時に前々から興味があった脳の研究をしたいと思い、博士課程から専攻を変えることにしました。「記憶」をキーワードにして研究室を探したところ、三品昌美先生が主宰していた分子神経生物学教室に辿り着きました。生物学の知識や実験経験が皆無に等しい私を、三品先生が研究室に受け入れてくださったおかげで、脳科学の研究者としての第一歩を踏み出すことができました。
 博士課程1年生の時に、シナプス形成の分子機構に関する研究をしていたスタッフの先生の指導を受けることになって以降、現在に至るまで脳のシナプスに関する研究をしています。ヒトの脳には1000億個以上もの神経細胞が存在しています。これらの神経細胞がシナプスと呼ばれる構造でつながって神経回路網を形成し、互いに情報のやりとりをすることで、記憶や学習、情動といった脳の様々な機能が発揮されます。神経細胞同士のつなぎ目であり情報のやりとりを行う場が、シナプスです。情報を送る側の神経細胞の軸索と呼ばれる部分の先端に存在するタンパク質と、情報を受け取る側の神経細胞の樹状突起と呼ばれる部分に存在するタンパク質が結合することでシナプスが形成され、神経細胞はつながることができます。神経細胞間にシナプスを形成し、それを維持する役割を担っているタンパク質のことをシナプスオーガナイザーといいます。シナプスオーガナイザーにはいくつもの種類があり、脳の部位や神経細胞の種類によって、使われているタンパク質が異なります。私は小脳でシナプスオーガナイザーとして機能しているタンパク質と類似の構造を持つタンパク質が、大脳皮質や海馬でシナプスオーガナイザーとして機能している可能性があることを明らかにしました。顕微鏡でサンプルを観察し、シナプスを形成していることを示す蛍光のシグナルを見つけた時は、とても興奮しました。たとえ大発見ではない小さな発見であっても、新しいことを自分が最初に見つけることができた時は、研究者をやっていて良かったと思う瞬間です。
 脳が正常に働くためには、神経細胞同士が適切につながることが非常に重要ですが、普段の生活や研究をする上でもつながりは重要です。様々な人とつながることで、自分の研究が進むようなアドバイスがもらえたり、刺激を受けたり、新しい経験をする機会を得たりします。私が本学の大塚稔久教授の研究室で研究する機会を得たのも、私と大塚教授の研究者ネットワークがある所でつながっていたからでした。まとまりのない話を長々と書いてしまいましたが、これからも人とのつながりを大事にしながら、神経細胞をつなぐ場であるシナプスの研究を続けていきたいと思います。
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