「地域医療」の定義をこの講座では、「各地域の必要性に適合した医療を提供すること」と考えています。地域医療=へき地医療と考える人々がいるかとは思いますが、山梨県には山梨県の、東京都には東京都の、沖縄・北海道には沖縄・北海道の「地域医療」が存在すると思います。また、地域医療≒総合医療(家庭医療)と思われる場合も多いかと思います。へき地医療や総合医療は、地域医療の一部にすぎず、最も柔軟で適応能力を求められる医療だと考えています。
多くの医師は、地域医療に従事しているとも言えます。ただし、従事している地域の特性を理解して対応しているかは疑問が多いと言えます。地域にとって必要な医療とは何か、それを調査しまとめ、対応を研究するのが地域医療学ではないでしょうか。
元号 | 経歴 |
---|---|
福島県生まれ | |
昭和58年 | 秋田大学医学部卒業、秋田大学医学部小児科入局 |
平成2年 | 秋田大学医学部小児科 助手 |
平成7年 | 秋田大学医学部附属病院 医療情報部 助手 |
平成11年 | 山梨医科大学医学部附属病院 医療情報部 部長・教授 |
平成14年10月 | 山梨大学医学部附属病院 病院経営管理部 部長・教授 |
平成20年4月 | 山梨大学医学部地域医療学講座 教授 |
平成25年11月 | 山梨大学医学部地域医療臨床研修学講座(寄附講座) 教授・併任 |
平成27年4月 | 山梨大学 学長補佐 併任 |
現在に至る |
元号 | 経歴 |
---|---|
神奈川県出身 | |
平成6年 | 山梨医科大学医学部医学科卒業 山梨医科大学医学部附属病院第三内科入局 |
平成11年 | 山梨医科大学医学部医学科大学院博士課程 修了 |
平成12年 | 米国 国立衛生研究所(NIH) 客員研究員 |
平成13年 | 米国 州立オハイオ大学 Edison Biotechnology Institute客員研究員 |
平成15年 | 米国 州立オハイオ大学 Edison Biotechnology Institute,Research Scientist II |
平成16年 | 山梨大学医学部附属病院第三内科 医員 |
平成18年 | 山梨大学医学部附属病院第三内科 シニアレジデント |
平成20年 | 山梨大学大学院医学工学総合研究部 地域医療学講座 特任助教 |
平成26年 | 山梨大学医学部附属病院 病院経営管理部 特任准教授 |
平成27年4月 | 山梨大学医学部附属病院 総合診療部 特任准教授 |
現在に至る |
地域医療の現状を理解し、魅力と意義を感じることにより、地域医療に従事する意欲を持てるよう、地域医療に必要な知識と技術を身につけられる教育を目指しています。また、大学医学部全体、山梨県、地域医療機関と連携し、臨床研修体制の充実により、山梨県を中心に地域に定着を希望する医師の養成を目指しています。学生教育で、診療の知識以外に備えておくべき常識や「自らが情報を収集し問題点と解決策を考え、患者を含む相手に理解してもらう」ことができるよう実習を中心に活動しています。
平成20年に開講以来、学年進行に伴い、講義や実習の新カリキュラムの充実を図っています。
講義は、医師になるための基本的常識と実習と連動させ、学年進行に従い行っています。協力講座の救急・集治療学講座松田教授や地域病院の院長・女性医師からの講義、患者からの体験に基づくお話を題材とした講義・討論(予定)など、多くの協力を得て、年ごとに充実させています。
1年次は、医学部教育委員会が主催する教養総合講義全体の実施を担当し、「医学部で何が学べるか」をキーワードに、学長、学部長、附属病院長、基礎系・臨床系教授から、その分野の概要を講義しています。地域医療学としては、教養総合講義のまとめとともに、地域医療や社会保障の原点・医師法・医療法の概要と医学部卒業後のキャリアパスの多種性について講義しています。
2~3年次以降は、実習関連の講義を協力講座等と協力して行うとともに、医療保険制度や診療情報(個人情報保護法を含む)の意義や扱い、電子カルテシステムの利点と問題点を中心に講義を行っています。
4年次の地域フィールド研究の実習後に、地域医療のかかえる問題点を中心に概説します。
1年次のECE(早期臨床体験)実習は、山梨県の地域病院の現場で見学・看護補助体験を通し、病院の概要と臨床医療の現状を理解することを目指します。
2年次の防災トリアージ訓練は、山梨大学医学部・医学部附属病院の春の防災トリアージ訓練に参加を必須とし、災害時医療の状況を見学・体験し、自らがボランティアなど何をすべきかを考えることを目指します。
3年次の救急車同乗実習では、学生一人が救急隊と夜間を含む24時間の行動をともにし、医学部卒業後ではほとんどみることのできない搬送の実際を体験し、救急活動の重要性と困難な点を理解し、学ぶことを目指します。
4年次の地域医療フィールド研究では、5~7人のグループにそれぞれ異なった大きなテーマを与え、テーマに沿った地域の問題点を洗い出し(方法もグループで考える)、さらにその解決方法をまとめる、という一連の実習です。11月までには、それらをまとめ、学会形式で公開発表し、討論を行い、調査研究の基礎を総合的に体験することを目指します。解決方法の正当性が評価の目的ではなく、結論に至る経緯を論理的に説明する能力を身につけることを期待しています。
地域医療政策、医療経済学、医療の質の評価、電子カルテ、診療情報の活用
病院経営、医療政策を中心に、関連する病院システムまたは自国に望まれる医療システムを日本の医療システムと比較して研究することを目指します。学生の学習背景により、必要とする内容が大きく異なります。
地域医療政策、医療経済学、医療の質の評価、電子カルテ、診療情報の活用
病院経営の改善や医療の質を評価向上させるための新たな方策や、医療政策を反映した医療体制やシステムの試作を行い、実際に活用することを目指しています。
本講座では、医療保険制度や電子カルテ(診療情報記載の在り方を含む)・医療情報システムなど医療機関で働く際に実際に必要となる知識の総括とプロトタイプの試作、地域医療政策や病院管理などの実務的な分野を研究対象としています。