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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2006.01.25

2006年1月25日 担当:M. Y.

Association of the 276G→T polymorphism of the adiponectin gene with cardiovascular disease risk factors in nondiabetic Koreans
~非糖尿病韓国人におけるアディポネクチン276G→T多型と心疾患の危険因子との関連~

Am J Clin Nutr (2005) 82: 760-767

著者:Jang Y, Lee JH, Chae JS, Kim OY, Koh SJ, Kim JY, Cho H, Lee JE, Ordovas JM.
<論文の要約>
背景:
アディポネクチン遺伝子はアディポネクチン濃度と糖尿病発症を調節することが知られている.

目的:
アディポネクチン遺伝子多型が血中アディポネクチン,インスリン抵抗性,心疾患のリスクファクターとして寄与するかどうかを検討することを目的とした.

対象:
非糖尿病である対象者 [902名, x±SE; 42.5±0.53 歳, BMI 24.7±0.11] は2つの一塩基多型 (45T→Gと276G→T) の遺伝子型を同定された.

結果:
年齢,性,BMIで調整後,SNP276のGアリルをもつ対象者はT/T型の対象者と比較して,トリグリセリド濃度,小型・高比重 (小型・高比重) LDL濃度が有意に高く,LDL粒子径が有意に小さかった.
SNP276のG/G型の対象者は,T/Tタイプの人と比較して,血漿アディポネクチンが有意に低く,HOMA-IRおよび尿中プロスタグランジンF2αが有意に高かった.
SNP45-276ハプロタイプテスト分析では,X/Xハプロタイプは調整後,血漿アディポネクチン濃度がTG/TG, TG/Xハプロタイプより有意に高かった.
BMI>26の高BMIグループにおいて,SNP276のT/T型の対象者はG/G,G/T型に比して,HOMA-IRが有意に低く (P = 0.011),血漿アディポネクチン濃度が有意に高かった (P = 0.026).
これらの傾向はハプロタイプ・グループのアディポネクチンにおいてもみられた.
しかしながら,SNP45T→Gの遺伝子型の影響は観察されなかった.

結論:
アディポネクチン遺伝子の276T→G多型は特に肥満者において,血中アディポネクチンやインスリン抵抗性に関与する.Gアリルを持つ人はまた高い酸化ストレスを持ち,小型・高比重LDL濃度が高く,LDL粒子径が小さい.したがって,アディポネクチン遺伝子のSNP276のGアリルの存在は,一般的な環境要因と独立して,韓国人の心疾患のリスクを高める寄与因子になるかもしれない.

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
・対象者のサンプリング方法や,背景についての情報が少なく、妥当性の評価が困難だ。
・ドミナントの方がリスクが高い。これをどう考えるか。

→血糖を下げるホルモンが1つしかないことからわかるように、血糖を効率的に上げるように本来人間の体はできている、ということを考えると納得がいく。
昔(飢餓の時代)は優位に作用していた遺伝子型も,今の飽食の時代では逆に不利に働く場合があるということかもしれない。
「自分自身の遺伝子型は変化しないので,やはり環境、生活習慣が大切ということですな!」(山北)



時は2054年、山里大学公衆衛生学教室

 ジャー吉:「「ねー、この間のCVDリスク健診の結果、どうだった?ぼくなんて遺伝子リスクゼロだって!わっほ~! えっ?ナル美は3つもあるの?クラ坊は4つ? あれまあ、お気の毒サマ!」

 ナル美:「フン! でもあんたの場合、環境リスクがどっさりじゃない?何せ毎日饅頭5つだもんね。」

 クラ坊:「ばぶー(ジャー吉の環境リスクは15個。予測寿命はあと15年だね)」

 ジャー吉:「ぐっ!それを言われては…なんだか胸が痛くなってきた~」

ロボ3号:「アナタノ健康ヲ損ネル可能性ガアリマスノデ、遺伝子診断ノヤリスギニ注意シマショウ。」


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