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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2011.2.9

2011年2月9日 担当:新井

The association of maternal food intake and infants’and toddlers’food intake
~ 母親の食物摂取と乳幼児の食物摂取の関連 ~
出典: Child: care, health and development, 36,(3), 396-403.2010.
著者: C. N. Hart, H. A. Raynor, E. Jelalian and D. Drotar
<論文の要約>
背景:
食物に関する幼い頃の最初の経験は、食べ物の好みや生涯に渡る食習慣に影響を与える可能性がある。しかしながら、乳幼児の食習慣の発達にどのような要因が関係するかについてはほとんど知られていない。これまでの研究は、幼児期以降あるいは思春期の子どもを対象とし、親の食物摂取が子どもの食物摂取と関連があることを示唆している。本論文の目的は、乳幼児期でもこのような関連が認められるのかどうかについて明らかにすることである。

デザイン:
横断研究

方法:
6~8ヶ月の子どもを持つ主にアフリカ系アメリカ人の母親98人を対象とした。対象者は、母親自身と自分の子どもの食物摂取に関する設問からなる質問紙に、一次診療者による子どもの診療を待っている間に回答した。

結果:
子ども達は、果実を 2.45 (1.79)回、野菜を 1.63 (1.51)回、スナック菓子を 2.22 (2.49) 回、毎日、摂取していた。乳幼児における果実 (r = 0.54、P<0.001)や、野菜(r = 0.42、P<0.001)、スナック菓子 (r = 0.37、P<0.001) の摂取習慣は、各食物の母親の摂取習慣と有意に関連していた。これらの統計的に有意な関連は、さらにいくつかの変数を調整しても残った。

結論:
幼い年齢の子ども達においても、母親の食物摂取と子ども達の食物摂取の間に強い関連が認められた。この年代のグループでは、スナック菓子摂取量に関する有意な知見が得られており、これらの知見を踏まえると、健康的な食行動を強化するための予防と介入のプログラムを、おそらく離乳食を導入する前の早い時期に、開始することが必要であると考えられる。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■解析方法として、hierarchical linear regressionというものが用いられているが、結果の表からは、実際にどのような解析が行われているかが理解しづらい。
■乳幼児期の子に着目し、母親の食物摂取頻度との関連を明らかにしたことはこの論文の強みであるが、対象者がアフリカ系アメリカ人という社会経済状況の偏った集団ではあるが故に、結果の一般化は難しいのではないか。



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