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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2012.2.1

2012年2月1日 担当:真野

Low-carbohydrate diet scores and risk of type 2 diabetes in men
~ 低炭水化物食スコアと男性の2型糖尿病リスク ~
出典: Am J Clin Nutr 2011;93:844-50.
著者: Lawrence de Koning, Teresa T Fung, Xiaomei Liao,et.al
<論文の要約>
目的:
妊娠期間中に食事のパターンは変化するのか。妊娠初期、後期の食事パターンの評価は、素点と応用得点のどちらの評価が望ましいかを調べること。

方法:
デザイン : 前向きコホート研究
セッティング : ハーバード、アメリカ
対象者 : 40-75歳の男性医療従事者51,529名
研究期間 : 1986年~2006年
4年ごとに、食事に関するアンケートを実施し、3種類の低炭水化物食のスコアを算出した。具体的には、(1)低炭水化物・高総タンパク質/脂質スコア、(2)低炭水化物・高動物性タンパク質/脂質スコア、(3)低炭水化物・高植物性タンパク質/脂質スコアの3種類。それぞれのスコアは、タンパク質と脂質の十分位(摂取量増加にそって1から10まで)と、炭水化物の逆十分位(摂取量増加にそって10から1まで)を合計して計算した。各スコアの最大値は30であった。Cox比例ハザードモデルを使って、スコア五分位のそれぞれについて2型糖尿病罹患リスクとの関連を確認した。

結果:
・経過観察の間に2型糖尿病の2689の罹患を確認した。
・年齢、喫煙、身体活動、コーヒー摂取、アルコール摂取、2型糖尿病、総エネルギー摂取量、とBMIを調整後、高動物性たんぱく質と高動物性脂肪のスコアと、2型糖尿病のリスク増加とに関連があった。
【高分位と低分位の五分位点を比較した;ハザード比:1.37;95%信頼区間1.20-1.58; p<0.01】
さらに赤身肉と加工肉の調整後に上記で示す関連が弱まった。
【ハザード比:1.11;95%信頼区間0.95-1.30;p=0.20】
・植物性たんぱく質と植物性脂肪の高スコアは2型糖尿病のリスクと有意な関連はみられなかった。しかし、65以下の男性では2型糖尿病のリスク低下と関連していた。
【ハザード比:0.78;95%信頼区間0.66-0.92;p=0.01】

結論:
・動物性たんぱく質と動物性脂肪において高い低炭水化物食を表すスコアが男性の2型糖尿病のリスクと正の関連がみられた。
・低炭水化物食は、赤身肉と加工肉以外の食物からたんぱく質と脂肪を摂る必要がある。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■被験者が男性の医療従事者であるが、勤務時間・勤務状況に応じて食事内容の違いが生じるのではないか?食事の質的な評価は今回できていないと考えられる。

■食事制限を伴う対象者、例えば、たんぱく質制限が必要な腎疾患患者などは除外対象に含めなくてよかったのか?

■Table1の低炭水化物食スコアから最も低い摂取の炭水化物量を算出すると、1食につき約60gである。本来、低炭水化物食として推奨される炭水化物量は1食20g以下である。




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