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2012年5月30日 担当:杉田
Association between low functional health literacy and mortality in older adults: longitudinal cohort study.
~ 高齢者における低機能的ヘルスリテラシーと死亡率との関係 ~
~ 高齢者における低機能的ヘルスリテラシーと死亡率との関係 ~
出典:
BMJ 2012; 344: e1602.
著者: Sophie Bostock, Andrew Steptoe.
著者: Sophie Bostock, Andrew Steptoe.
- <論文の要約>
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目的:
低機能的ヘルスリテラシー(FHL:基本的な健康情報を読み書き、理解する能力)と死亡率との関係を調査すること。
方法:
世帯で層化抽出された縦断研究に基づいた母集団。イングランド。English Longitudinal Study of Ageing (ELSA)の第二調査(2004-2005)に参加し、面接後12ヶ月以上生存した52歳以上の7,857名。参加者は、簡易的な4項目のFHLテストを行った(アスピリン服用に関する書面の理解度)。
主要アウトカム:2008年8月を通しての全死因死亡率に基づいた死亡時間
結果:
FHLヘルスリテラシー(HL)は高値(最大スコア、67.2%)、中等度(1つの誤解、20.3%)、低値(1つ以上の誤解、12.5%)で分類した。フォローアップ期間は平均5.3年、そのうち621名(高HL321名(6.1%)、中FHL143名(9.0%)、低FHL157名(16.0%))が死亡している。個人特性、社会経済状況、ベースラインの健康状態、健康行動で調整後、高FHLと比較して低FHLである参加者の全死因死亡率のハザード比は1.4(CI 1.15-1.72)、中等度FHL1.15(0.94-1.41)であった。認知機能の調整因子を追加した結果、低FHLのハザード比は1.26(1.02-1.55)に減少した。
結論:
イングランドの高齢者の3分の1は、基本的な健康関連の書面の読解が困難であり、読解力が低いほど死亡率が高かった。限られたFHL能力はイングランドにおける高齢者に対する保健サービスの計画や情報提供に影響を及ぼすことが考えられる。
- <ジャーナルクラブでのディスカッション>
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■ 面談から13ヶ月と24ヶ月以内で死亡した参加者を除外して解析を行っているが、24ヶ月1つにまとめて解析する事でいいのではないか。
■ 感度分析をどこまで行う必要があるのか。この論文ではヘルスリテラシースコアをいくつかに分類してサブ解析を行っている。
■ 死亡に対して、低ヘルスリテラシーの群では既往歴が影響している可能性がある。BMIは3つのヘルスリテラシースコア分類間では差が見られていない。また、基本的な教育がヘルスリテラシーに影響すると仮定し、貧しい人ほどBMI高いとすると、BMIが各ヘルスリテラシー群で同じくらいになる可能性はある。これらから、既往歴の影響が死亡に影響していないとは言いがたい。
■ 若い世代におけるヘルスリテラシーを考える必要もあるだろうが、死亡をアウトカムとした場合、長期の追跡研究が必要となるため、現実的には困難であるだろう。
■ 日本人は識字率が高いことから、機能的ヘルスリテラシー能力は英国や米国などほかの国と比較して高い事が予測される。日本で、健康に関する情報をどのように選択し、自身の健康に活かす能力を検証するには、意思伝達的ヘルスリテラシー、批判的ヘルスリテラシーといった上級レベルのヘルスリテラシー能力の測定が必要となるだろう。