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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2013.5.8

2013年5月8日 担当:真野

Association of weight change in different periods of adulthood with risk of type 2 diabetes in Japanese men and women : the Japan Public Health Center-Based Prospective Study.
~ 日本人男女における異なる成人期での体重変化と2型糖尿病との関連性~
出典: J Epidemiol Community Health 2011;65:1104-1110
著者: Akiko Nanri, Tetsuya Mizuue, Yoshihiko Takahashi, Yumi Matsushita, Mitsuhiko Noda, Shoichiro Tsugane
<論文の要約>
背景:
異なるライフステージの体重変化が2型糖尿病リスクに与える影響を観察した研究は数少ない。また、2型糖尿病と体重減少の関連は明らかではない。
2型糖尿病の発症に関して、異なるライフステージにおける体重変化の働きを評価するために、我々は20歳からの体重変化と中高年期との間の関連と、2型糖尿病のリスクを日本の大規模な住民を対象としたコホート研究データを使用し調査した。

方法:
被験者は糖尿病歴がなく、Japan Public Health Center-Based Prospective Studyに参加した45-75歳の男女52014名であった。20歳とベースライン調査の間およびベースライン調査(一次)と二次調査の間の5年間の体重変化に対する、2型糖尿病の診断を受けた自己報告によるオッズ比は、ロジスティック回帰分析を使い推定された。

結果:
5年間の5年調査後に、2型糖尿病のケースを発症した新たな989名が自己報告された。20歳からの体重変化は、2型糖尿病のリスク増加に関連があった。安定体重群に対して5㎏以上の体重変化による多変量調整のオッズ比(95%CI)は、男性2.61(2.11-3.23)と女性2.56(1.95-3.35)だった。ベースライン調査後の5年を超える5㎏以上の体重増加は、女性ではリスクが増加したことに関連があった。体重減少との関連性は、どちらの期間でも観察されなかった。

結論:
結果として、早期成人期から中年期までの長期体重増加は、男女において2型糖尿病のリスクを増加させる。また、女性ではリスクが晩年の体重増加によって更に強められる事が示された。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■Table3:男女において、First modelの調整では、5㎏以上の体重減少群の糖尿病発症リスクとの関連がみられたが、その後の多変量調整によってリスクの関連が弱まったのは、ベースライン時の元々の体重が多いことがリスクであることを示している。

■Table3:【男性】BMIによる多変量調整は、なぜBMI22-24.9㎏/m2がreferenceではないのか?ミスプリントの可能性が大きい。

■アウトカムが自己記入式による糖尿病の診断を受けたという自己報告である。この方法は、信頼性に疑問が残る。自己記入式であれば、疾患は服用している薬剤名を聞き取ることで判断できる。



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