PAGE TOP

国立大学法人

山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2013.11.13

2013年11月13日 担当:Wei Zheng

Effectiveness of home based early intervention on children's BMI at age 2: randomised controlled trial
~ 2歳時のBMIに対する家庭訪問による早期介入の有効性:ランダム化比較試験~
出典: BMJ 2012;344:e3732 (Published 26 June 2012)
著者: Li Ming Wen, research and evaluation manager, Louise A Baur, professor of paediatrics and child health, Judy M Simpson, professor of biostatistics1, Chris Rissel, professor of public health, Karen Wardle, research coordinator, Victoria M Flood, associate professor of public health
<論文の要約>
目的:
2歳時のBMIに対する家庭訪問による早期介入の有効性を評価すること

デザイン:
ランダム化比較試験

セティング:
オストラリアシドニーの社会経済のレベルが低い地域の一部(期間:2007-2010年)

参加者:
初産婦667人とその児

介入:
子どもの発達のタイミングに合わせて、特別に訓練を受けた地域保健師が妊婦出産前、産後1,3,5,9,12,18,24カ月に、段階的に家庭訪問による介入を8回実施した。

メインアウトカム:
プライマリアウトカム(primary outcome)はこどものBMI(2歳時点の健康なBMIの範囲は男児14.12-18.41、女児13.90-18.02)であった。修正された研究計画によって、セカンダリアウトカム(secondary outcome)は2歳時の食習慣、テレビの視聴時間などであった。データ収集と入力のスタッフは盲検化されたが、参加者は盲検化されていなかった。

結果:
497の産婦とその児(75%)が試験を完了した。667人の参加者に対したIntention to treat解析で、追跡不能の170人とBMIデータが欠損していた14人を多重代入法により補完し、解析した。結果は、介入群のBMI(16.53)は、対照群(16.82)より有意に低かった。その差は0.29(95CI-0.55--0.02、p=0.04)であった。

結論:
訓練を受けた地域保健師からの家庭訪問による早期介入は子ども2歳時のBMIの減少に有効であった。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■この論文の結果、介入群のBMIは対照群より0.38低かった。臨床的には、わずかな差ではあるが、集団レベルから見ると、過体重または肥満の有病率を2.9%減少させる効果がある。

■'おなか時間'は乳幼児の首、肩と背中の筋肉を鍛える。このアプローチを日本に導入することが有効かもしれない。

■この研究は単一の介入ではなく、乳幼児栄養、動的遊び、家族の身体活動と栄養、そして社会的支援などを含んだ一連の介入をした。介入全体としては有効であったが、具体的に有効な部分とメカニズムが分からなかった。したがって、このプログラムの一般化は難しいであろう。



前のページに戻る