2016年2月17日,24日 担当:小村、大岡
Cardiometabolic Risk Factors in Young Adults Who Were Born Preterm
~ 早産で生まれた若年成人の心血管代謝系リスクファクター ~
~ 早産で生まれた若年成人の心血管代謝系リスクファクター ~
出典:
American Journal of Epidemiology. 2015;181(11):861-873
著者: Marika Sipola-Leppänen*, Marja Vääräsmäki, Marjaana Tikanmäki, Hanna-Maria Matinolli, Satu Miettola, Petteri Hovi, Karoliina Wehkalampi, Aimo Ruokonen, Jouko Sundvall, Anneli Pouta, Johan G. Eriksson, Marjo-Riitta Järvelin, and Eero Kajantie
著者: Marika Sipola-Leppänen*, Marja Vääräsmäki, Marjaana Tikanmäki, Hanna-Maria Matinolli, Satu Miettola, Petteri Hovi, Karoliina Wehkalampi, Aimo Ruokonen, Jouko Sundvall, Anneli Pouta, Johan G. Eriksson, Marjo-Riitta Järvelin, and Eero Kajantie
- <論文の要約>
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【背景】
極低出生体重かつ早産で生まれた成人は、正期産で生まれてきた成人と比べて、その後の人生で血圧が高めで耐糖能異常になりやすい。そこで、我々はPreterm Birth and Early Life Programing of Adult Health and Disease(ESTER)Studyの参加者である、すべての段階の早産で生まれた若年成人における、心血管代謝のリスクファクターを検討した。
【方法】
対象者は(上記ESTER)Studyの参加者(北フィンランドで1985年から1989年に出生した地域ベースのコホート研究)で、これらを在胎週数(あるいは期間)によって3群(妊娠34週未満で生まれた134人(early preterm)、妊娠34週から36週で生まれた242人(late preterm)、妊娠37週以上で生まれた344人(コントロール))に分け、2009年から2011年に臨床的な検査を実施した。
【結果】
性別と年齢、コホートの違い(1985~1986年または1987~1989年)で調整した後、コントロールと比べて、早産で生まれた成人は体脂肪率、(early pretermでは6.2%の差(95%信頼区間=0.4, 13.2)、late pretermでは8.0%の差(95%信頼区間=2.4, 13.8))、ウエスト回り、血圧(early pretermでは3.0mmgHgの差(95%信頼区間=0.9, 5.1)、late pretermでは1.7mmHgの差(95%信頼区間=0.1, 3.4))、血漿尿酸値(early pretermでは20.1%の差(95%信頼区間=7.9, 32.3)、late pretermでは20.2%の差(95%信頼区間=10.7, 30.5))、アラニン・アミノトランスフェラーゼ値、アスパラギン酸トランスアミナーゼ値が高かった。彼らはまた、メタボリックシンドロームにもなりやすかった(early pretermでは、オッズ比=3.7(95%信頼区間=1.6, 8.2)、late pretermでは、オッズ比=2.5(95%信頼区間=1.2, 5.3))。
【結論】
従来のリスクファクターと新たなリスクファクターの値が上昇することは、その後の人生において心血管代謝疾患のリスクが高くなることを示唆している。これらのリスクファクターはまた、遅い早産で生まれた成人の大多数でも表れている。
- <ジャーナルクラブでのディスカッション>
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■脂肪肝指標をtriglycerides値、BMI、γglutamate値を使って計算しているが、これは血液検査と身長・体重の測定でできるので、簡便である。
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■結果において、各検討項目のコントロール群との有意差も重要ではあるが、それらの差がどれほど臨床的に意味のある量であるのかを重視しなくてはならない。
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■今回は解析において、全てのアウトカムについて4つのモデルで検討しているが、どのモデルが一番妥当であるかがわからないのでAICを用いた検討などが必要であろう。また、非巡回的有向グラフ(DAG)を用い調整すべき因子を検討するなどの方法も可能かもしれない。
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■糖尿病や脂質異常、肝機能異常を摘出するには被験者がやや若すぎるかもしれない。(今後異常が出てくる可能性が高いが)。
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■連続変数であると有意差があっても、その意義の解釈が難しい。カットオフの決まっているカテゴリー変数のほうが解釈しやすい。
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■一般集団における早産児、特にearly pretermの出生割合から考えると、これらの児を数百人含んでいる今回のコホートはそれだけで意義深いと考えられる。