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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2017.11.8

2017年11月8日    担当:長野

Associations between participation in organised physical activity in the school or community outside school hours and neighbourhood play with child physical activity and sedentary time: a cross-sectional analysis of primary school-aged children from the UK
~ 学校放課後の地域で組織化された身体活動への参加することや、近所での遊ぶことと、子どもの身体活動時間ならびに座位時間との関連:英国の小学生の横断的分析 ~
出典: BMJ Open 2017;7:e017588. doi:10.1136
著者: Russell Jago, Corrie Macdonald-Wallis, Emma Solomon-Moore, Janice, L. Thompson, Debbie, A. Lawlor, Simon, J. Sebire
<論文の要約>
【目的】
学校または放課後の地域や近所で組織化された身体活動への参加することや、近所で遊ぶことが、どれだけ子どもの身体活動と座位時間に関連しているかを評価すること

【デザイン】
横断研究

【セッティング】
南西イングランドの州立小学校47校から募集された子ども

【参加者】
8歳から9歳までの1223名の子ども

【主要アウトカム】
加速度計で評価された中程度から高強度の身体活動(MVPA)時間と座位時間

【結果】
学校のクラブに週3~4日参加した子どもは、まったく参加していない子どもより7.58(95 %CI:2.7-12.4)分多いMVPAが得られた。他の3つの非学校ベースの活動への参加も、同様にMVPAと関連していた。しかしそれらと座位時間との関連は弱かった。4つの異なる条件が組み合わされた場合、1週間に参加する102回の活動が追加されるごとに、政府のガイドラインが推奨するMVPA60分に合致する参加者の確率が高まった(OR:1.18,95%CI:1.12-1.25)。

【結論】
学校や地域における組織的な身体活動に参加することは、男女とも、身体活動の増加と、座位時間の短縮に関連する。4種類の活動すべてが身体活動全般に寄与している。この結果を見て両親は、子どもが活動的であるようにできるだけ環境を整えてあげたいと考えるだろう。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
    ■リクルートが学校単位で行われたため、サンプリングがランダムであったとは考えられない。健康に対する関心が高い学校(もしくは家庭)の子どもが多く参加した可能性がある。
    ■身体活動の頻度に関する質問項目(「まったくしない」「週に1-2日」「週に3-4日」「週に5日」)について、1日あたりの活動時間が考慮されておらず、4種類の活動(学校の組織化された身体活動、地域の組織化された身体活動、近所での友人や家族との遊び、自宅での友人や家族との遊び)すべてが運動をしている状態の最高評価「週に5日」であった場合の状況については、それぞれの活動を十分に実施していたとは考えにくい。
    ■BMIと貧困指数(IMD)を調整変数としている。これらの間にはすでに関連が報告されており、今回のアウトカムで同時に調整する変数として適当であるかは吟味が必要である。
    ■通学方法についての記載がなく、徒歩・自転車・スクールバスなどの運動要因が十分に考慮されていなかった可能性がある。通学方法についても、交絡因子として調整すべきである。
    ■身体活動の頻度の合計で表す「Activity frequency score」と貧困指数(IMD)には、負の関連があった。本研究では、各身体活動と貧困指数(IMD)にはU字型の関連があり、身体活動が最小あるいは最大で貧困指数が高いということは、興味深い結果だった。


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