2023年6月21日 担当:小原
The Mouth as a Site of Compound Injustices: A Structural Intersectionality Approach to the Oral Health of Working-Age US Adults
出典:
American Journal of Epidemiology Vol. 192, No. 4
著者: João L. Bastos∗, Helena M. Constante, Helena S. Schuch, Dandara G. Haag,and Lisa M. Jamieson
著者: João L. Bastos∗, Helena M. Constante, Helena S. Schuch, Dandara G. Haag,and Lisa M. Jamieson
- <論文の要約>
-
【目的】
健康格差に関する知識と実践は、周辺化された群(貧困層等)に対する構造インターセクショナル的抑制の調査 が不十分なため、制限されてきた。著者らは 歯科における無歯顎者に対する構造インターセクショナルアプローチで検討した。
【デザイン】
横断研究
【セッティング】
個人レベルの情報は2010年のBRFSS(Behavioural Risk Factor Surveillance System)の成人約20万人(18~64歳)から収集したが、2000年と2010年の州レベルのデータは、Homanの2021年の研究および米国国勢調査から得た。これら3つの情報源は、複数の共変数に加え、無歯顎者、人種、性別、構造的人種差別、構造的性差別、所得格差に関する情報を提供した。
【参加者】
2010年のBRFSSの成人約20万人(18~64歳)
【結果】
構造インターセクショナル的分析では高い所得格差かつ構造的性差別で1.4倍(95%信頼区間:1.1、1.9)、高い人種差別かつ構造的性差別で1.5倍(95%信頼区間:1.1、2.2)、無歯顎者の確率増加と関連していることが分かった。
【結論】
無歯顎者の頻度は、構造的人種差別、構造的性差別、所得格差が高い州に居住する非ヒスパニック系黒人男性で最も高かった。 アメリカやその他の地域における健康格差に関連する研究や政策に対する構造インターセクショナルアプローチは重要である。
構造インターセクショナル的抑圧:構造とはここではアメリカの州単位のことであり、インターセクショナリティとは個々に当てはまる様々な属性を個別ではなく複合的に考える理論的な枠組みのこと。つまり高い所得格差かつ構造的性差別など。
- <ジャーナルクラブでのディスカッション>
-
-
■Q1.構造インターセクショナリティアプローチは注目されているのか?
→いくつかの要因が複雑にからみあいながら個人に影響を及ぼす差別を意味する。「複合差別」、「交差性差別」とも表現し、近年特に社会学ピックアップされてきている。-
■Q2中絶の経験のない州に住む女性の割合とは?(構造的性差別の身体の項目)
→中絶医療機関がない州に住む女性の割合のこと(JCレジメは誤訳でした)-
■Q3個人レベルの因子だけを介入対象にすればいいのではないか。例えば、口腔衛生関連の行動の改善など。
→著者らが言いたいことは考察1段落目にあるように、口腔衛生関連の行動を改善すれば、歯科分野の格差は是正されると従来主張されてきたが、歯の喪失の不公平は増大が続いているという現状がある。そのため著者らは個人レベルの因子に加え、構造インターセクショナルアプローチが必要と論文で主張している。