PAGE TOP

国立大学法人

山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2023.9.27

2023年9月27日    担当:河合

24-Hour Movement Behaviors and Internalizing and Externalizing Behaviors Among Youth
~ 青少年における24時間動作行動と内向性および外向性問題行動 ~
出典: Journal of Adolescent Health, 68:9690977, 2021
著者: Hugues Sampasa-Kanyinga, Ian Colman, Gary S. Goldfield, Ian Janssen, JianLi Wang, Mark S. Tremblay,
Joel D. Barnes, Jeremy J. Walsh, and Jean-Philippe Chaput
<論文の要約>
【目的】
こどもと青少年における24時間動作ガイドライン (中程度から強度の身体活動を1日60分以上,レクリエーションとしてのスクリーンタイムを1日2時間以内,5~13歳の睡眠時間を1日9~11時間) は,身体的健康の向上と関連しているが,これらの行動がメンタルヘルスとどのように関連しているかについてはあまり知られていない。本研究では,青少年におけるこれらのガイドラインを満たすことと,内向性および外向性問題との関連について検討した。

【方法】
思春期の脳と認知発達研究 (Adolescent Brain and Cognitive Development study) に参加している9~11歳の米国の青少年 (N = 11,875) の大規模な横断サンプルを分析した。内向性および外向性問題について、こども用行動チェックリスト (CBCL/6-18) を用いて測定した。いくつかの交絡因子で調整した負の二項回帰を用いて関連を調べた。

【結果】
いずれのガイドラインも満たしていない場合と比較すると,スクリーンタイムと睡眠に関するガイドラインは満たしているが,身体活動に関するガイドラインは満たしていないことが,内向性問題,外向性問題,その総計である総合的問題における有病率の低下と関連していた。2つまたは3つすべてのガイドラインを満たすことは,1つのガイドラインを満たすことや何も満たさないことよりも,これらのアウトカムとより強く関連していた。3つのガイドラインすべてを満たす群の有病率比は,総合得点で0.77 (95%信頼区間 [CI]:0.68-0.86) ,内向性得点で0.78 (95%CI:0.68-0.89) ,外向性得点で0.79 (95%CI:0.68-0.91) であった。

【結論】
24時間動作ガイドラインを満たすことは,青少年における内向性および外向性問題のリスク低下と関連していた。これらの関連は,主にスクリーンタイムと睡眠時間のガイドラインを満たすことによって説明された。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
    ■ 身体的・精神的健康の評価において,身体活動や睡眠に加えて,座位行動への注目が高まっている。本研究ではスクリーンタイムを座位行動の指標としたが,それ以外の座位行動をどのように評価するかも検討が必要。
    ■ ガイドラインを「守っている」「守っていない」という変数の設定は,対象者の規範遵守の程度によるバイアスが発生する可能性がある。本人の意志に関わらず,日常生活が反映できるような調査方法に留意する必要がある。
    ■ 上記に関わらず,得られた結果自体には意味があり,結果にどのようなバイアスが含まれる可能性があるかを考慮できていれば良い。
    ■ 一般線形モデルではなく,一般化線形モデルを使用する場合は,データのばらつきを見てどのような分布(ex. ポワソン分布,二項分布)を適用するかを判断する。


前のページに戻る