TGF-β in Human Disease がん増殖と悪性化の分子機構 医学のあゆみ2010年9月4日号 実験医学2010年4月号
多細胞生物では、その組織構築を維持するために、構成細胞の増殖・運動性・分化状態を調節する細胞間コミュニケーションがとられています。 細胞増殖因子はこのプロセスに関与するたんぱく質性の生理活性物質です。当研究室では生化学的・分子生物学的・細胞生物学的手法を駆使して、 細胞増殖因子のシグナル伝達異常と疾病との関係について研究しています。

現在の中心的な研究対象はTGF-βという細胞増殖因子です。TGF-βは他の細胞増殖因子と同様に、様々な標的細胞により、種々の細胞応答を惹起します。 しかし、他の多くの細胞増殖因子が発癌促進性の作用をもつのに対し、TGF-βは発癌抑制作用と癌悪性化促進作用の二面性を示すユニークな性質が知られています。 この二面性の分子機構を明らかにし、がん悪性化のシグナル伝達を選択的に抑制する手法を開発することも視野にいれながら基礎研究を展開しています。

生化学講座第2教室 教授 宮澤恵二

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