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数学セミナー(第27回)

日 時:令和5年8月29日(火)18:10~19:40
場 所:甲府西キャンパス Y号棟1階 Y-13教室
講演者:駒場 敦 氏(山梨大学医学部放射線医学講座)
タイトル:「1次元単純ランダムウォークの範囲における鏡像法の応用」
アブストラクト:微分方程式や差分方程式を解く手法である「鏡像法」を用いると,カタラン数の一般項を導出できることが知られている.今回はこの「鏡像法」を,ランダムウォークに関する計算に応用する.値 1, -1 をそれぞれ確率 1/2 で取る n 個の独立な確率変数 X_1, ..., X_n を用いて S_0 = 0, S_i = S_{i - 1} + X_i (i = 1, ..., n) で定義される 1 次元ランダムウォーク S_0, ..., S_n に対し,その「範囲」を D_n = #{S_0, ..., S_n} で定義する.d を正の整数としたとき,条件 S_n = 0 の下で D_n が d 以下となる確率を,鏡像法を用いて計算する.

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数学セミナー(第26回)

日 時:令和4年12月15日(木)10:00~11:30
場 所:甲府東キャンパス T1号棟 1階 11教室
講演者:星野 歩 氏(広島工業大学)
タイトル:「一行型、一列型Koornwinder多項式の明示公式とPieri型公式」
概 要:本講演では、一行型、一列型Koornwinder多項式の明示公式について、一列型Koornwinder多項式のdegeneration schemeとその応用や、関連するPieri型公式を紹介したいと思います。

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数学セミナー(第25回)

日 時:令和4年12月3日(土)15:00~16:30
場 所:甲府東キャンパス B3号棟 2階 203(CE会議室)
講演者:小松 尭 氏(産業数理研究所Calc)
演 題:「量子ウォークの定常性と局在性」
アブストラクト:本講演では,量子ウォークの2つの性質に焦点を当てる.1つ目は,量子ウォークの定常性に関して考察する.量子ウォークの定常性は,時間発展作用素が誘導する測度列が時間に関して不変な性質をもつことを意味する.また,そのような測度は定常測度とよばれ,量子ウォークの固有値問題を満たす一般化固有関数の解を見つけることで,定常測度が構成されることを紹介する.2つ目は,通常のランダムウォークでは見られない局在性である.この性質と量子ウォークの時間発展作用素の固有値が密接に関わっていることを見ていく.なお,定常性に関する結果は,横浜国立大学の今野紀雄氏との共同研究であり,局在性に関する結果は,東北大学の楯辰哉氏との共同研究によるものである.時間が許せば,異なる分野から登場した「グローヴァーウォーク」と「伊原ゼータ関数」が「今野・佐藤の定理」で結ばれている事を紹介する.

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数学セミナー(第24回)

日 時:令和4年12月2日(金)16:30~18:00
場 所:甲府東キャンパス B3号棟 2階 203(CE会議室)
講演者:入江 佑樹 氏(東北大学数理科学連携研究センター)
演 題:「マヤゲームと対称群の表現」
アブストラクト: ゲームと表現の間の一つのつながりを紹介する.1970年代頃,佐藤幹夫は「対称群のフック公式」と「マヤゲームのSprague-Grundy関数(SG関数)の明示公式」の形が似ていることなどから,両者には見かけ以上の関連があることを予想した.本講演では対称群の既約表現の次数に関する定理を与え,この定理からp飽和マヤゲームのSG関数の明示公式が得られることを紹介する.

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数学セミナー(第23回)

日 時:令和3年12月22日(水)16:30~18:00
場 所:甲府西キャンパス 総合研究棟(Y号館)1階 Y-13教室
講演者:小林 正樹(山梨大学工学部基礎教育センター)
演 題:「ニューラルネットワークによる連想記憶」
アブストラクト:Hopfield network は物理のスピングラス理論のニューラルネットワークを使ったモデル化であり、AI分野では連想記憶に応用されている。古典的な Hopfield network は実数を使って構成され、扱える情報は2値である。複素数値化により Hopfield network の表現力は格段に上昇し、多値情報を処理できるようになった。その後、複素数以外の代数系を使った高次元化が試みられている。Hopfield network 高次元化の入り口として複素数値化を紹介する。

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数学セミナー(第22回)

日 時:令和2年2月20日(木)16:30~18:00
場 所:甲府西キャンパス 総合研究棟(Y号館)1階 Y-12教室
講演者:成瀬 弘(山梨大学教育学部)
演 題:「励起ヤング図形の組合せ論」
アブストラクト:シューベルト・カルキュラスの研究の過程で、2009年にIkeda-Naruseの論文において、​「励起ヤング図形」が考案された。その後、シューベルト・カルキュラスに関連して​種々の応用があることが分かってきている。ここでは、その歴史的な経緯といくつかの​応用例について、組合せ論的な議論を中心に紹介させて頂きたい。

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数学セミナー(第21回)

日 時:平成30年2月22日(木)16:30~18:00
場 所:医学部キャンパス 看護学科棟1階 8109教室
講演者:鳥居 猛(岡山大学)
演 題:「quasi-category入門」
アブストラクト:∞圏でk射(k>1)が適当な意味で可逆になっているようなものを(∞,1)圏と呼ぶ。(∞,1)圏のモデルとして様々なものが考案されているが、Boardman-Vogtにより導入され,JoyalおよびLurieにより大きく発展させられたquasi-categoryは(∞,1)圏のモデルとして理論整備が進んでいるものの一つである。この講演では,(∞,1)圏の概略の説明とquasi-categoryへの入門を試みる。

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数学セミナー(第20回)

日 時:平成28年9月12日(月)15:30~17:00
場 所:甲府キャンパス 総合研究棟1階 Y-11教室
講演者:滝聞 太基(東京大学)
Title:On some factorization formulas of $K$-$k$-Schur functions
Abstract:We give some new formulas about factorizations of $K$-$k$-Schur functions $g^{(k)}_{\lambda}$, analogous to the $k$-rectangle factorization formula $s^{(k)}_{R_t\cup\lambda}=s^{(k)}_{R_t}s^{(k)}_{\lambda}$ of $k$-Schur functions, where we put $R_t=(t^{k+1-t})$. Although the formula of the same form does not hold for $K$-$k$-Schur functions, we can prove that $g^{(k)}_{R_t}$ divides $g^{(k)}_{R_t\cup\lambda}$, and in fact more generally that $g^{(k)}_{P}$ divides $g^{(k)}_{P\cup\lambda}$ for any multiple $k$-rectangles $P=R_{t_1}\cup\dots\cup R_{t_m}$ and any $k$-bounded partition $\lambda$. We give the factorization formula of such $g^{(k)}_{P}$ and the explicit formulas of $g^{(k)}_{P\cup\lambda}\big/g^{(k)}_{P}$ in some cases.

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数学セミナー(第19回)

日 時:平成26年5月28日(水)16:30~18:00
場 所:甲府キャンパス 総合研究棟1階 Y-14教室
講演者:安尾 南人(山梨大学)
講演タイトル:「スペクトル系列の公理的考察 I」
講演アブストラクト:代数幾何における証明の道具,あるいは位相幾何における計算の道具として使われてきた“スペクトル系列”について,Dieter Puppeによる1962年の論文“Korrespondenzen in abelschen Kategorien”中で言及された“加法関係(additive relations)”による定式化について再考する。その着想は1960年代前半頃にDieter PuppeやSaunders Mac Lane(“An algebra of additive relations”,1961)などにより指摘されていたものだが,その後はあまり表立って宣伝されていないようにも見受けられる。ここではこの着想を新たに掘り下げ,例えば“スペクトル系列における乗法構造”とのかかわりなど,未公表の知見を提供する。

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数学セミナー(第18回)

日 時:平成26年2月5日(水)17時00分~18時00分
場 所:総合研究棟1階 Y-12教室
講演者:宮本 泉(山梨大学工学部コンピュータ理工学科)
講演タイトル:「GAP‐システムを使った置換群の計算」
アブストラクト:数学計算ソフトウェアパッケージGAPは,群計算を主とした数式処理システムです。GAPを使って,次数の小さな置換群でもスムーズに計算できない場合があるような計算アルゴリズムの工夫をしたり,可移な置換群の分類を試みます。そのときに使うGAPのコマンドも紹介します。

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数学セミナー(第17回)

日 時:平成25年11月26日(火)17時00分~18時00分
会 場:甲府西キャンパス S1-22教室(旧K号館2階)
講演者:宮原 大樹(山梨大学工学部 基礎教育センター)
演 題:フィルター環論の圏論的な考察とその例
アブストラクト:環論の研究において環のフィルター付けと呼ばれる手法は1950年代,可換環においてZariskiがイデアルの冪によるフィルター付けによるイデアルの考察に用いられてたことに始まる。その後,1980年代ワイル代数の一般化として,さらにM.Van den Bergh,F.Van.Oystaeyenらによって,1990年代には非可換代数幾何学への応用として発展してきた。一方近年では,環論の研究において圏論的な手法,特に導来圏を用いた手法による研究が盛んであるが,フィルター加群のなす圏に関する研究はなされていない。その原因としてはフィルタ加群全体のなす圏がアーベル圏にならないという事実があるが,本講演ではフィルター加群のなす圏がどのような圏であるかを基本的な部分から紹介し,例を見ながらどのような応用があるかについて述べる。

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数学セミナー(第16回)

日 時:平成24年12月21日(金)16時30分~18時00分
会 場:甲府西キャンパス Y号館 Y-15教室
講演者:鳥居 猛(岡山大学)
演 題:Structured moduleのdescentについて
アブストラクト:structured module(あるいはspectrum)は加群のホモトピー論における対応物であり,structured commutative ring(あるいはE_∞-ring spectrum)は可換環のホモトピー論における対応物である。この講演ではstructured commutative ring上のstructured moduleに対するdescent theoryをhigher categoryを用いて定式化するお話をする予定です。

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数学セミナー(第15回)

日 時:平成24年1月27日(金)16時30分~18時00分
会 場:甲府西キャンパス K号館 K-23教室
講演者:鳥居 猛(岡山大学)
演 題:ホモトピー論におけるdescent理論
アブストラクト:ホモトピー論におけるdescent理論とその応用について,Hessによる定式化をもとに解説する予定です。

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数学セミナー(第14回)

日 時:平成23年12月8日(木)16:30~18:00
場 所:医学部キャンパス 講義棟2F 1203教室
講演者:面田 康裕(明石高専)
講演タイトル:「単純リー群のthickな表現の分類について」
アブストラクト:
「群の既約表現の中でthickと呼ばれる特別なクラスの表現の研究について報告する。最近,単純リー群の既約表現のうちでthickなものを完全に分類することができた。本セミナーでは分類結果の紹介とその証明の詳細な解説を行う予定である。」

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数学セミナー(第13回)

日 時:平成23年3月25日(金)15:00~
   (休憩を間に挟んで約2時間半を予定。)
場 所:甲府西キャンパス 総合研究棟 Y-12教室
講演者:鳥居 猛(岡山大学)
講演タイトル:「Toen-Vezzosiによる高次トポス理論」
アブストラクト:
高次トポス理論とは,ホモトピー論(のモデル)上定義された空間に値をもつ層の理論およびその抽象化である。
高次トポス理論については様々な定式化がなされているが,この講演ではToen-Vezzosiによる定式化について紹介する。

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数学セミナー(第12回)

日 時:平成22年12月2日(木)16:30~18:00
場 所:甲府西キャンパス K号館2F K-22教室
講演者:奥山 真吾(香川高専 情報工学科)
講演タイトル:「Ehrhart多項式入門」
アブストラクト:
近年,代数と組合せ論の間の関係が注目されています。代数の様々な問題が組合せ論の問題に帰着しますが,Ehrhart多項式の理論は逆に,ある種の組合せ論の問題が平易な代数で表せることを保証しており,大変強力な理論です。このセミナーでは,Ehrhart多項式について入門的な解説を行います。

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数学セミナー(第11回)

場 所:甲府西キャンパス Y号館1F Y-12教室
日 時:平成22年11月27日(土)

13:00~14:30 中本 和典(山梨大学)
講演タイトル:「A review on the moduli of representations of degree 2」
アブストラクト:
2次表現について,6つの鋳型それぞれに対する表現のモジュライをZ上のスキーム(冪単鋳型表現については,Z[1/2]上,またはF_2上)として構成する。技術的に細かな説明が主となる。

15:00~16:30 鳥居 猛(岡山大学)
講演タイトル: 「Hecke operators in Morava E-theories」
アブストラクト:
Ando, Hopkins, Strickland, Rezk, Ganterらにより,Morava E-theoryにおける Hecke operatorが定義された。
この講演では chromatic levelの異なる Morava E-theoryのHecke operatorの比較についてお話します。

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数学セミナー(第10回)

日 時:平成22年2月18日(木)17:00~18:00頃
場 所:甲府西キャンパス Y号館1F Y-12教室
講演者:奥山 真吾(香川高専 情報工学科)
講演タイトル:「格子点ソフトLattEの不変式論への応用」
講演アブストラクト:
LattEは多面体の内部にある格子点の個数を数えるソフトウェアです。不変式論におけるある問題を,組合せ的な問題に帰着させ,最終的にはLattEを使って解くことができました。LattEの実装している Barvinok のアルゴリズムの概要と,この研究の今後の発展の可能性についてお話しします。

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勉強会のお知らせ

日 時:平成22年1月22日(金)18:00~(1時間程度)
場 所:医学部キャンパス 講義棟2階 1203教室
講 師:中本 和典 教授
(総合分析実験センター・生命情報分野・データサイエンス部門)
演 題:いわゆる,5次方程式の「解の公式」が存在しないという,小話
講演内容:
 一般に5次以上の方程式について,その係数から四則演算と冪根のみを用いて解を求めることができない,という古典数学を,身の程もわきまえず演じようってんのが,今回の試み。
 2次方程式の解の公式ってのは,あの,中学で習うやつですが,3次,4次方程式の解の公式は,あるんだろうけど,マイナーであまり教えません。ところが5次以上の方程式にはそもそも解の公式がない,という衝撃の事実を述べようと思います。
 「存在しない」ということを示すなんて難しい事この上ない,存在の証明の方が,実際に連れてくればすむわけで,楽なんですけど。
 今回の登場人物は,「群」と「体」。21世紀の数学でも,じゅうぶん活躍しておられる「人物」です。
 5次方程式の(代数的)解の公式が存在しないことが証明されたのは,そう,日本ではまだ江戸時代のことでした。

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数学セミナー(第9回)

講演者:中本 和典(山梨大学 総合分析実験センター)
題 名:「複素領域における線型常微分方程式」(第1章)の紹介」
日 時:平成21年9月19日(土)14時00分~15時00分
場 所:甲府西キャンパス K号館2階 K23教室
アブストラクト:
「複素領域における線型常微分方程式」(渋谷 泰隆著 紀伊国屋書店)の第1章の紹介。複素平面の(連結)開集合Dにおける”解析接続の構造”と”モノドロミーの構造”を定義し,それらが等価であることを示す。また,線型常微分方程式(系) dW/dz = A(z)W の基本解の系が,解析接続の構造を定める。このとき,同じ解析接続の構造を定める2つの線型常微分方程式は,適当な(正則関数成分行列による)変数変換によって,互いに移りあうことがわかる。連結開集合Dにおける解析接続の構造に対して,適当なA(z)を選ぶと,dW/dz = A(z)W の定める解析接続の構造が,与えられたものと一致するようにできるという,Grauertの存在定理についても(ほとんど証明なしに)紹介したい。

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数学セミナー(第8回)

講演者:面田 康裕(明石高専)
題 名:「表現のあるクラスについて II」
日 時:平成21年9月1日(火)14:00~15:30
場 所:医学部キャンパス 講義棟2F 1203教室
アブストラクト:
群の表現のなかでdense, thickといった新たなクラスが導入された。
今回は,特に単純リー群の既約表現のうちで,thicknessにかなり近いと思われるskew multiplicity free表現達について,そのdenseness及びthicknessを調べた結果を報告する。

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数学セミナー(第7回)

講演者:鳥居 猛(岡山大学大学院 自然科学研究科)
    中本和典(山梨大学 総合分析実験センター)
講演タイトル:「有限生成自由代数のボレル鋳型表現のモジュライの有理ホモトピー型と混合ホッジ構造」
日 時:平成21年3月21日(土)14:00~15:30
場 所:医学部キャンパス 看護学科棟1F 8109教室
アブストラクト:
表現論と代数幾何学と代数的位相幾何学をチャンポンにしたお話。
有限生成自由代数の直既約表現を分類するのは非常に難しいが,そのうちボレル鋳型表現は比較的扱いが易しい。
(複素数体上の)ボレル鋳型表現のモジュライは,非特異代数多様体の構造を持つ。
今回の講演では,ボレル鋳型表現のモジュライの位相的構造として,(有理数係数コホモロジー群や有理ホモトピー群が復元できるところまで情報を落とした)有理ホモトピー型を記述する。
さらにサリバンの極小モデル上の混合ホッジ構造についても決定する。

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数学セミナー(第6回)

講演者:鳥居 猛(岡山大学大学院 自然科学研究科)
講演タイトル:「 K(1)-local topological modular forms について 」
日 時:平成20年12月12日(金)16:30~18:00
場 所:甲府キャンパス K号館2階 K-23教室講演
アブストラクト:
topological modular forms スペクトラム tmfは普遍楕円コホモロジー理論として Hopkinsにより導入された。
この講演では tmfの素数 2における Morava K(1)理論による Bousfield局所化の E∞セル分解に関する Hopkinsの結果について紹介します。

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数学セミナー(第5回)

講演者:荒谷 督司氏
題 名:「上半三角行列環上の例外列の見つけ方」
日 時:平成20年11月29日(土)15:00~16:00
場 所:甲府キャンパス B1号館3F B1-333(土木セミナー室)
アブストラクト:
例外列は,Gorodentsev と Rudakov により導入された概念である。
$C$ を体 $k$ 上の遺伝的なアーベル圏もしくは三角圏とする。
$C$ 上の完備な例外列があると,それは $C$ を生成することがわかっている。
このことからも例外列を見つけることは, $C$ を調べる上で非常に重要なことであるといえる。
本講演では上半三角行列環上における例外列の見つけ方を組み合わせ論を使って紹介する。

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数学セミナー(第4回)

講演者:面田 康裕(明石高専)
題 名:「 表現のあるクラスについて 」
日 時:平成19年12月26日(水)15時00分~16時00分
場 所:甲府キャンパス Y-12
アブストラクト:
群の表現全体のなかで開集合をなすような特別なクラスの表現達についての研究を紹介する。ここではまず問題提起しておく。
問題:群Gの既約なn次元表現ρ:G→GL(V)に関して,dimV_{1}+dimV_{2}=n を満たす任意の部分空間V_{1},V_{2}をとるとき,うまくGの元gをとることでρ(g)V_{1}+V_{2}=Vとできるでしょうか?

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数学セミナー(第3回)

講演者:鳥居 猛(福岡大学理学部)
題 名:「代数多様体のホモトピ-圏における球面のホモトピ-群」
日 時:平成19年1月12日(金)16時30分~
場 所:甲府西キャンパス K22(旧K228)
アブストラクト:
代数多様体のホモトピ-圏は Morel-Voevodsky により導入された。
この講演では,この圏における球面のホモトピ-群に関する Morel の結果について述べる予定である。

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数学セミナー(第2回)

講演者:鳥居 猛(福岡大学理学部)
題 名:「 安定ホモトピー圏について 」
日 時:平成18年3月7日(火)16時30分~17時30分
場 所:甲府キャンパス K228
アブストラクト:
安定ホモトピー圏とはホモトピー圏から「 stable 」な現象に対応する部分を取り出したものである。
どういう経緯で,安定ホモトピー圏を考えるようになったのかという歴史的な話と,安定ホモトピー圏と整数論との関係を示す古典的な例を紹介しようと思っています。
ホモトピー圏における「 stable 」な現象の例の代表的なものとして
(i) Freudenthal の懸垂定理,
(ii) Bott の周期性,
(iii) Thom による bordism group のホモトピー群による解釈,
といったものがあります。
これらを紹介した後に J-準同型を定義し,その像と Bernoulli 数との関係について述べる予定です。
これは安定ホモトピー圏と整数論との深い関係を示唆していると考えられます。

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数学セミナー(第1回)

講演者:片長 敦子(四国学院大学)
題 名:「ブリスコーン多項式で定義された複素3次元孤立特異点のリンクについて」
日 時:平成18年2月21日(火)16時30分~17時30分
場 所:甲府キャンパス K228
アブストラクト:
原点において孤立特異点を定義する複素4変数多項式fを考え,X={ z \in \C^4 | f(z)=0 }とおく。このとき,原点を中心とする十分小さな実7次元球面S^7_{\epsilon}と複素3次元超曲面Xとの交わりK=X \cap S^7_{\epsilon}は, スピン構造を持つ単連結閉実5次元多様体となり”リンク”と呼ばれている。この特異点の近傍の様子は,リンクの微分同相型とリンクのS^7_{\epsilon}への埋め込まれ方で決定されることが知られている。講演では,次の2つの得られた主結果を紹介する。

定理 ブリスコーン多項式で定義された複素3次元対数的標準特異点のリンクKの微分位相型は,S^5または\sharp_m (S^2 \times S^3) \sharp_n M_qである。ここで,m, n はある非負整数,M_q はH_2(M_q)=(\Z/q\Z)^2 (qは1より大きいある整数)である閉スピン5次元多様体とする。

定理 ブリスコーン多項式で定義された複素3次元孤立特異点において,セカンドホモロジー群の位数が6の倍数でかつ6^{12}より小さいリンクKは存在しない。