私は初代大矢正算名誉教授の後任として、2006年5月に山梨大学法医学講座に着任いたしました。
法医学というと事件や事故の解剖をイメージされる方が多いようですが、私どもの教室では@法医解剖実務と教育、A研究の2つを柱にしています。
@山梨県には監察医制度がありませんので、県内で発見された異状死体の解剖は原則として当教室で担当しています。警察医、警察歯科医をはじめ県内外の病院、学内外の先生方にご協力を頂き、真実・死因の究明に努めていきたいと考えております。また、教育では、学生への法医学教育を担当しています。さらに、ご遺族・警察など関係者のご理解を頂き、必要に応じて臨床医の先生方と解剖所見に関する相互理解を深めるために合同カンファレンスを実施しています。
A研究は医学・法医学の進展には欠かせません。当教室では、主に1)古人骨のDNA解析と日本人の成り立ちに関する研究(安達)と、2)頭部外傷に伴う損傷脳の研究(猩々)を行っています。また、法医学実務に則した死体現象に関する症例・実証研究なども実施しています。死体現象(死後、どのように死体の変化が進むかということ)を実験的に検証し、死後経過時間の推定や経過状況の解明に役立てたいと考えています。詳しくは各教官の紹介ページ、研究のページをご覧頂ければと思います。
生病老死、人間であれば誰も逃れることはできません。「生病老」扱うのが臨床医であれば、法医学は主に「死」を取り扱う分野です。しかし、「死」を知ることは、「生病老」を理解することにつながると思います。今後とも、法医学の社会・臨床医学への還元を目標に、法医学実務および研究に邁進していく所存です。
法医学講座 教授
安達 登
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