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国立大学法人

山梨大学 医学工学総合研究部 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2005.06.29

2005年6月29日 担当:S. T.

Hypermethylation of CpG islands in the promoter region of the p15INK4B gene in childhood acute leukaemia
~小児急性白血病におけるp15INK4B遺伝子promoter領域CpG islandの高メチル化~

European Journal of Cancer (2005) 41. 584-589

著者:E. Tsellou, C. Troungos, M. Moschovi, F et al.
<論文の要約>
サイクリン依存性キナーゼ抑制(CDKI)遺伝子p15INK4Bの遺伝的変化による不活化が、様々な悪性腫瘍の原因となる可能性が報告されている。このCDKIの失活のメカニズムの1つとしてp15INK4B遺伝子プロモーター領域における5′CpG islandの高メチル化の関与が示唆されている。CDKIの失活は様々な血液悪性新生物の中で多く見られている。

小児期急性骨髄性白血病(AML)と急性リンパ性白血病(ALL)の病因におけるメチル化の役割を明らかにするため、p15INK4B遺伝子のメチル化を観察した。対象者は、23例のB-細胞ALL、13例のT細胞ALL、32例のAML患者と10名の健康なコントロール。高メチル化の同定はメチル化特異的PCRで行った。

p15INK4B遺伝子の高メチル化は、T細胞ALL(46.2%)に高頻度であったが、B細胞ALL(13.0%)とAML(18.8%)での頻度はほぼ同じであった。

p15INK4Bの高メチル化はT細胞ALLの発症と関連する可能性があるが、AMLまたはB細胞ALLとは関連がなかった。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
遺伝子が後天的にメチル化等の作用を受けることが、疾患の発症要因となることが示唆されている。小児の白血病患者を用いてそのメチル化の頻度を観察し、その関連を明らかにしようとした研究。

・このデザインではメチル化と発症との因果関係が判定できない…前向きな研究は可能か?それは妥当なデザインか?
・B-細胞ALL患者に対する、コントロールのオッズ比は1を超えている。サンプリングバイアスによる結果と考えてよいか。コントロールが少なすぎて、referenceにできなかったのは本研究の限界のひとつ。
・B細胞とT細胞を分けて観察できればより良いだろう。



 ナル美:「遺伝子のメチル化って、いろんな作用があるらしいわよ。ジャー吉の脳みそもメチル化液
         みたいなのに漬けたら、ちょっとは食いしんぼが治るかもね。」

 クラ坊:「だぁー(無きにしも非ずだね)」

 ジャー吉:「僕の脳みそ、漬け物みたいに言うない!」


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