PAGE TOP

国立大学法人

山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

おしらせ

公開シンポジウム 「再生医療研究のELSI: ヒト胚研究利用と14日ルール」が2022年11月22日に開催されます
    https://peatix.com/event/3377662    2022.10.14

Journal Club 通信を更新しました     2022.9.14

Journal Club 通信を更新しました     2022.9.7

Journal Club 通信を更新しました     2022.8.31

Journal Club 通信を更新しました     2022.7.27

Journal Club 通信を更新しました     2022.6.15


以前の更新情報はこちらから

Journal Club 通信

ジャーナルクラブは疫学論文のCritical Reviewを行う会です
毎週水曜日午後6時~7時 本講座で開催
このコーナーでは毎週のクラブの報告をいたします

2022年11月2日    担当:久島

Association Between Influenza Infection and Vaccination During Pregnancy and Risk of Autism Spectrum Disorder
妊娠中のインフルエンザ感染およびワクチン接種と自閉症スペクトラムのリスクとの関連について
出典: JAMA Pediatr. 2017 Jan 2;171(1):e163609.
著者: Ousseny Zerbo, Yinge Qian, Cathleen Yoshida, Bruce H Fireman, Nicola P Klein, Lisa A Croen
<論文の要約>

【重要性】
妊娠中の母体の感染症や発熱は、自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスク上昇と関連している。我々の知る限り、妊娠中のインフルエンザワクチン接種とASDの関連性を調査した研究はない。

【目的】
妊娠中のインフルエンザ感染およびワクチン接種とASDリスクとの関連を検討することである。

【デザイン、設定、参加者】
2000年1月1日から2010年12月31日までにKaiser Permanente Northern Californiaで出生した、妊娠24週以上の子ども196 929人を対象としたコホート研究である。

【曝露】
妊娠日から出産日までの母親のインフルエンザ感染とワクチン接種に関するデータを、Kaiser Permanente Northern Californiaの入院および外来患者データベースから入手した。インフルエンザ感染は、国際疾病分類第 9 版の臨床的修正コード、またはインフルエンザ検査結果陽性により定義した。

【主要アウトカムおよび測定】
出生から2015年6月までのいずれかの時期にKaiser Permanente Northern Californiaの電子カルテに少なくとも2回記録された国際疾病分類、第9改訂、臨床的修正コード299.0、299.8、または299.9で識別されるASDの臨床的診断とした。

【結果】
この小児196 929人のコホートにおいて、1 400人(0.7%)の母親がインフルエンザと診断され、45 231人(23%)が妊娠中にインフルエンザの予防接種を受けていた。ワクチン接種者と非接種者の平均(SD)年齢は、それぞれ31.6(5.2)歳と30.4(5.6)歳であった。合計3101人(1.6%)の小児がASDと診断された。共変量で調整した後、妊娠中の母親のインフルエンザ感染(調整ハザード比、1.04、95%CI、0.68-1.58)またはインフルエンザワクチン接種(調整ハザード比、1.10、95%CI、1.00-1.21)はASDリスクの増加と関連しないことが分かった。妊娠期別の分析では、第1期のインフルエンザワクチン接種がASDリスク上昇と関連する唯一の期間であった(調整ハザード比、1.20、95%CI、1.04-1.39)。しかし、この関連は,検証した仮説の多重性をボンフェローニで補正した場合(n=8)、偶然に起因する可能性があった(P=0.1)。第2期または第3期における母親のインフルエンザワクチン接種は、ASDリスクの上昇と関連しなかった。

【結論と関連性】
妊娠中のどの時期も母体のインフルエンザ感染とASDリスク上昇との関連はなかった。母親が第1期にインフルエンザワクチン接種を受けた小児のASDリスク上昇の示唆はあったが、その関連は多重比較で調整すると統計的に有意ではなく、この知見は偶然による可能性があることが示された。これらの知見は、ワクチン政策や実践の変更を求めるものではないが、母親のインフルエンザワクチン接種と自閉症に関するさらなる研究の必要性を示唆するものである。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
    ■KPNCは低所得者向けの医療保険制度(メディケイド)であることや、追跡期間を考慮してもASDの有病率が1.6%と少ないことなどから、母集団に偏りが生じている可能性がある。
    ■使用した変数について、妊娠24週未満で生まれた子どもを除外しているが、早産もリスク要因として共変量に含めた方が良かったのではないか。また、帝王切開などの炎症反応に関連する要因や、胎児期における発育・障害の有無、先天性疾患の有無など、ASDや母親のワクチン接種行動に関連し得る要因について、母集団も大きいためもう少し統制しても良かったのではないか。
    ■妊娠第1期のみでインフルエンザワクチン接種とASDとの関連性が示唆されたことのメカニズムについて記載した方が良い。
    ■KPNC会員の89%がインフルエンザワクチンを接種していること、KPNC以外でのインフルエンザワクチン接種状況が不明であることから、ワクチン接種のリスクが過大評価されている可能性が考えられる。

最近のジャーナルクラブ通信

2022.11.2 Association Between Influenza Infection and Vaccination During Pregnancy and Risk of Autism
Spectrum Disorder
2022.10.19 Depressive symptoms and objectively measured physical activity and sedentary behaviour
throughout adolescence: a prospective cohort study
2022.9.14 Foot Core Training to Prevent Running-Related Injuries-A Survival Analysis of a Single-Blind,
Randomized Controlled Trial-
2022.9.7 Development of a clinical prediction model for perinatal deaths in low resource settings
2022.8.31 Polyvalent Mechanical Bacterial Lysate Administration Improves the Clinical Course of Grass
Pollen-Induced Allergic Rhinitis in Children: A Randomized Controlled Trial
2022.7.27 Comparative Safety of BNT162b2 and mRNA-1273 Vaccines in a Nationwide Cohort of US Veterans
2022.6.15 Effect of Face-to-Face vs Virtual Reality Training on Cardiopulmonary Resuscitation Quality:
A Randomized Clinical Trial
~心肺蘇生法訓練における対面型とバーチャルリアリティ(VR)型での効果の比較:ランダム化臨床試験~
2022.3.16 When and how should multiple imputation be used for handling missing data in randomised clinical
trials – a practical guide with flowcharts

Last Update: 2022.11.9

第27回日本疫学会学術総会のホームページへ エコチル調査のホームページへ エコチルやまなしのホームページへ 出生コホート研究センターのホームページへ