2024年1月24日 担当:岡
著者: Marah Aqeel, Jiaqi Guo, Luotao Lin,et al.
- <論文の要約>
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身体活動(PA)の多面的な側面を取り入れて、健康と関連するパターンを分類する試みはほとんどなされていない。そのため時間と活動回数を統合した時間的 PA パターンを作成し、健康状態との関連を明らかにした。National Health and Nutrition Examination Survey 2003-2006 の加速度計データを用いて、平日 1 日活動した 1999 人の成人の PA カウントと活動時間をパターン化した。解析方法として動的時間ワーピングと k 平均クラスタリングにより、時間的 PA パターンを表す 4 つの参加者クラスターを分割した。多変量回帰モデルは、クラスターと健康状態指標、肥満、2 型糖尿病、メタボリックシンドロームとの関連を決定した。6:00-23:00 の活動回数が最も少ない時間的 PA パターンを持つクラスター1 は、16:00~21:00 の活動量が高いクラスター3 と比較して、より高い体格指数(BMI)(β=2.5±0.6 kg/m2、95%CI:1.0、4.1)と関連しており、太いウエスト周囲径(WC)(β=6.4±1.3cm、95%CI:2.8、10.0)、高い肥満オッズ(OR:2.4、95 %CI:1.3、4.4)であった。また、クラスター1 は、8:00~11:00 の間に活動量が高いクラスター4 と比較して、BMI(β=1.5±0.5kg/m2、95%CI:0.1、2.8)および WC(β=3.6±1.3cm、95%CI:0.1、7.0)が高かった。PA 回数が最も少ない時間的 PA パターンは、1 日のうち早い時間(8:00- 11:00)または遅い時間(16:00-21:00)に行われた活動回数が多い時間的 PA パターンと比較して、平均 BMI とWC が有意に高かった。時間的 PA パターンは、健康状態と有意に関連している。
- <ジャーナルクラブでのディスカッション>
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■本研究は、身体活動パターンのクラスタリングと肥満に関わる健康状態指標の関連の
研究であった。しかし、肥満などを中心とした指標に関わる因子(交絡因子)として睡
眠状況(睡眠時間や質)や摂食状況(食事のタイミングや食事量)などの因子を考慮し
ていないと思われるため、それらのライフスタイル因子を考慮する必要があるのでは
ないかと考えた。
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■今回の研究対象者は元データ(National Health and Nutrition Examination Survey
2003-2006)の 8%に留まる形であった。除外基準をみると、対象年齢以外の除外では、
データの欠損による理由がほとんどであった。そのため、感度分析として、データの欠
損の補完に伴う解析があった方が結果の頑健性につながるのではないかと考えた。
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■身体活動量は 1 週間加速度計を装着し、その 1 週間の中で平日有効日をランダムに 1
日分(0 時~24 時)抽出して解析対象とするという身体活動のデータ選択であった。し
かしこれでは、次の 3 点についての可能性を考慮できない場合が考えられる。①仕事
の種類による身体活動量の違い、②仕事の形態による不規則な勤務体系(平日が休日の
仕事や 1 日中勤務して 2 日休むような消防士などの勤務体系)、③平日が休日となる仕
事。よって、これらを考慮するため、抽出する身体活動量を週単位にすること、仕事の
種類なども調整して分析することも重要ではないかという指摘があった。