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山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

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Journal Club 通信

ジャーナルクラブは疫学論文のCritical Reviewを行う会です
毎週水曜日午後6時~7時 本講座で開催
このコーナーでは毎週のクラブの報告をいたします

2022年6月15日    担当:岩淵

Effect of Face-to-Face vs Virtual Reality Training on Cardiopulmonary Resuscitation Quality:
A Randomized Clinical Trial
~心肺蘇生法訓練における対面型とバーチャルリアリティ(VR)型での効果の比較:ランダム化臨床試験~
出典: JAMA Cardiol. 2020 Mar 1;5(3):328-335
著者: Joris Nas, Jos Thannhauser, Priya Vart, Robert-Jan van Geuns, Hella E. C. Muijsers, Jan-Quinten Mol, Goaris W. A. Aarts, Lara S. F. Konijnenberg, D. H. Frank Gommans, Sandra G. A. M. Ahoud-Schoenmakers, Jacqueline L. Vos, Niels van Royen, Judith L. Bonnes, Marc A. Brouwer
<論文の要約>

【はじめに】
居合わせた人による心肺蘇生(CPR)は、心停止後の生存率を左右するものだが、ほとんどの場合実施されない。バーチャルリアリティ(VR)などの新しい、低コストで簡単に利用できるトレーニング方法は、より広いターゲット層に届けられる可能性があるが、CPRスキルの到達度に関するデータは不足している。

【目的】
VRと対面でのCPRトレーニングの教育効果を比較すること。

【デザイン、セッティング、参加者】
PROBE法による非劣性試験。参加者は、オランダのローランズフェスティバル(2019年8月16日から18日に開催)の科学セクション参加者の成人。分析は2019年9月に実施した。

【介入】
2種類の標準化された20分間のCPRとAEDの使用に関する訓練(インストラクター主導の対面トレーニングと蘇生協議会(英国)に承認されたスマートフォンアプリを使用したVRトレーニング)を用いた。

【主要アウトカム測定】
トレーニング後の、標準化されたCPRシナリオにおいて、CPRマネキンを使用して胸骨圧迫の深さと回数として測定される主要アウトカムのCPRの質を評価した。全体的なCPRパフォーマンスは、欧州蘇生協議会が承認したチェックリスト(最大スコア13)を使用して、研究グループの割り付けを知らされていない調査委員によって評価された。 追加の副次アウトカムは、胸骨圧迫比率、ガイドラインに規定されている平均圧迫深度(50 -60 mm)または回数(100 -120回/分)の参加者の割合、および圧迫の完全開放の割合とした。

【結果】
合計381人の参加者がランダムに割り付けられた。女性216人(57%)、年齢の中央値は26(22-31)歳。VRアプリ群(n = 190 [49.9%])は、対面トレーニング群(n = 191 [50.1%])よりも胸骨圧迫の深さで劣っていた(VR群49 [10] mm vs対面群57 [5] mm、差の平均-8 [-9〜-6] mm)が、胸骨圧迫の回数では劣っていなかった(VR群114 [12] 回/分 vs対面群109 [12]回/分、差の平均6 [3〜8]回/分)。VR群の全体的なCPRパフォーマンススコアは低かった(中央値[IQR]、10点[8-12]対12点[12-13] P <.001)。胸骨圧迫比率と、深さと回数の基準を満たす参加者の割合もVR群で低かった。完全な圧迫解除の割合は、VRグループで高かった(中央値[IQR]、98%[59%-100%] vs 88%[55%-99%]; P = .002)。

【結論】
このランダム化非劣性試験においてVRトレーニングは、対面トレーニングと比較して胸骨圧迫回数は同等だったが、圧迫深度は劣っていた。より多くのターゲット層に到達するためにVRトレーニングの可能性を考えると、対面トレーニングによって習得される圧迫深度と全体的なCPRスキルを達成するためにさらなる開発が必要である。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
    ■RCTのガイドラインに添って計画、実施された研究であり、1つ1つの手順もCONSORTガイドラインに添って細かく記載されており、方法などで参考にできる点が多かった。ただ、サンプルサイズの計算がされているにもかかわらず、実際には倍近い対象者数となっている点について、理由の記載があると良かった。
    ■対面群はトレーニングでもモデル人形を使用した胸骨圧迫を経験し、その後のチェックもモデル人形への圧迫を評価している。一方でVR群はトレーニングで枕を用いていたことから、トレーニング後のチェックでの胸骨圧迫深度の差はVRと対面のトレーニングよりも圧迫体験での枕と人形の差が影響した可能性がある。VRが自宅でのトレーニングを想定しているとはいえ、ペットボトルなどのように圧迫に対して押し返される感覚が得られるものを用いる方法が良かったのではないかと考えられる。
    ■音楽フェスティバル会場の一部というセッティングを用い、更にそれに伴う問題(飲酒など)も考慮した上で実施することにより、目的とする若い世代での調査を実施できている。日本にもフェスティバルといえば健康祭りがあるが、より若いターゲット層にアプローチするために、リスクを予め検討した上で若者向けのイベントと合同で開催することは有効な手段かもしれない。

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