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国立大学法人

山梨大学 医学工学総合研究部 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2005.07.13

2005年7月13日 担当:K. S.

Fast-food habits, weight gain, and insulin resistance (the CARDIA study): 15-year prospective analysis
~ファストフード摂取習慣と、体重増加・インシュリン抵抗性の関連を見た15年間の前向き研究(CARDIA study)~

Lancet (2005) 365, 36-42

著者:Mark A Pereira, Alex I Kartashov, Cara B Ebbeling, et al.
<論文の概要>
ファストフードの消費は、最近30年間アメリカにおいてとても大きくなっている。しかしながら、ファストフードと肥満や2型糖尿病との関連についてはあまり注意が払われていない。われわれはファストフードの摂取習慣と、体重変化、インシュリン抵抗性について15年間にわたってその関連を追跡することを目的とした。

CARDIA studyの参加者は1985-86年に18歳から30歳であった3031人の若い黒人と白人であり、食物摂取の評価を繰り返し受けて追跡された。(追跡率74%)
多重直線回帰モデルを用いて、ベースラインにおけるファストフード摂取頻度と15年間の摂取頻度の変化のそれぞれについて、15年間の体重変化およびインシュリン抵抗性(HOMA)との関連を、週3回の摂取頻度によってそれらの値がどのように変化するのかを解析することで検討した。

ファストフードの頻度は他の民族・性別(およそ週に2回)と比較して、白人女性(週に1.3回)で最も小さかった。ライフスタイルで調整したところ、ベースラインのファストフード摂取頻度は、黒人(p=0.0050)・白人(p=0.0013)ともに15年間の体重の変化と直接関連していた。15年間におけるファストフードの摂取頻度の変化は、白人で15年間の体重変化と直接関連していたが(p<0.0001)、黒人では強い関連が認められなかった(p=0.1004)。また、その変化は直接15年間のインシュリン抵抗性上昇と関連していた(黒人:p=0.0015、白人:p<0.0001)。週に1回未満しかファストフードレストランを利用しない人と、週に2回以上利用する人を比較したところ、よく利用する人は4.5kg体重増加が大きく(p=0.0054)、またインシュリン抵抗性においては2倍の値を示した(p=0.0083)。

この研究結果は過去の横断研究や、短期間の前向き研究の結果とも一致している。ファストフードの1食あたりのカロリーは、1日の摂取カロリーに匹敵し、高カロリー摂取は独立してインシュリン抵抗性と関連している。また炭水化物や糖分が多く、これもまた血糖値を上げやすくしている。この論文では直接カロリーなどの評価を行っていないが、摂取頻度を直接評価している点が優れている。観察研究である、さまざまな調整不可能な交絡因子がある、という研究の限界を考えてもこの結果は有意義なものである。

コメント論文
“Super-sized and diabetic by frequent fast-food consumption?”
Lancet (2005) 365, 4-5

著者:Arne Astrup
<コメント論文概要>
ファストフードレストランにおける、1人分のメニューのサイズと、エネルギー密度は過去50年でかなり増加している。ファストフードレストランはこのようなメニューが消費者の健康状態を悪化させていることを考えるべきである。サイズを小さくし、体にいいと思われる食材を用いることが適切であろう。これらは価格を上げるかもしれないが、少なくとも健康に悪影響を及ぼすことはない。いくつかの会社はこのような方針を打ち出している。この傾向が続くことを望む。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■日本においても、このようなファストフードと健康に関する研究はあまりなされていないかもしれない。都市にある、中高一貫校などで研究を行うことができれば面白いのではないか。

■ファストフード摂取頻度と体重増加・インシュリン抵抗性の解析を行う際に、頻度1回あたりではなく、頻度3回あたりとしている方法が興味深かった。年齢を連続変数として解析するのではなく、5歳毎に層別化するのと同じような解析方法であろう。



 ジャー吉:「たまに無性に食べたくなるんだよね~、ハンバーガー」

 ナル美:「たまに無性に飲みたくなるのよね~、シェイク」

 クラ坊:「ブブー、ばぶぅ(たまに無性に欲しくなるんだよね~、おまけ)」


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