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国立大学法人

山梨大学 医学工学総合研究部 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2005.07.13

2005年9月7日 担当:D. A

Influence of Pro12Ala peroxisome proliferator-activated receptorγ2 polymorphism on glucose response to exercise training in type 2 diabetes
~2型糖尿病患者における運動トレーニングへのグルコース反応に対するperoxisome proliferator-activated receptorγ2 Pro12Ala多型の影響~

Diabetologia (2005) 48: 1503-1509

著者:K. B. Adamo, R. J. Sigal, K. Williams, G. Kenny, D. Prud’homme, and F. Tesson1
<論文の要約>
運動トレーニングは、多くの研究で血糖コントロールを改善することが報告されている。
しかし、2型糖尿病での運動トレーニング反応への遺伝的な影響に関する研究は少ない。
本研究の目的は、運動トレーニングによる空腹時血漿グルコースの変化に対するperoxisome proliferator-activated receptor(PPAR)γ2遺伝子のPro 12Ala多型の影響を調査することである。

検査集団は、3ヵ月の監督された運動トレーニングを完了した139名の座りがちな2型糖尿病患者(年齢:54.4±7.2,HbA 1c:7.7±0.9%)とした。分析の主要アウトカム変数は、血糖の介入後変化とした。
他の評価は、身体組成、インスリン感受性インデックスと最大酸素摂取量(VO 2max)測定とした。

Ala対立遺伝子の頻度は8.3%であり、遺伝子型はハーディ・ワインベルク平衡であった。
ベースライン時の身体組成変数(体重、BMI、ウエスト周囲径)、グルコースホメオスタシス変数(グルコース、インスリン、HbA1c、ホメオスタシス・モデル評価法)やVO 2maxも、遺伝子型の間で異ならなかった(野生型:Pro 12Pro n=117、Ala保因者:X 12Ala n=22)。
運動トレーニング介入は、両遺伝子型グループで、身体組成とグルコースホメオスタシス変数を同様に改善した(p< 0.05)。
空腹時血漿グルコースの変化は、PPARγ2遺伝子型の間で有意な違いがあった(-1.66 mmol/l vs -0.54 mmol/l(それぞれAla保因者と野生型))(調整なしp=0.034、ベースライン時グルコースで調整ありp=0.089)。
そして遺伝子型とグルコース反応の間の有意な関係は、統計学的に有意な予測因子(年齢、インスリンやBMI変化(p=0.015))やベースライン時のグルコース、インスリン、BMI(p=0.031)で調整した後でも残っていた。

これらのデータは、Pro 12Ala多型は2型糖尿病での運動による血糖反応に影響を与える可能性があることを示唆する。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>

・この研究では運動群を3つに分けその3群すべてを運動群としているが、運動方法を統一した方が良いのではないだろうか。

・食事調査などを加えることでもっと質の高い研究になるかもしれない。

・日本人ではこの多型の頻度は低い(数%)ため日本での応用は難しいかもしれない。

・この場合、分析方法は共分散分析の方が一般的なのではないか。



 ナル美:「今回はコメントが見つからないわ。」

 ジャー吉:「いかんね~、気合いをコメント(込めんと)! なんちゃって」

 クラ坊:「ばふぅ~!
        (わはは、山田君、ジャー吉に座布団1枚やっとくれ)」


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