PAGE TOP

国立大学法人

山梨大学 医学工学総合研究部 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2005.09.28

2005年9月28日 担当:H. K.

Effects of a Dietary Portfolio of Cholesterol-Lowering Foods vs Lovastatin on Serum Lipids and C-Reactive Protein

~血清コレステロ-ルを低下させるために推奨されている
     食品とロバスタチンの、血清脂質とCRPに与える効果の比較~

JAMA (2003) 290, 502-510

著者:David J. A. Jenkins, MD; Cyril W. C. Kendall, PhD; Augustine Marchie, BSc; et.al.
<論文の要約>
背景:
高コレステロール血症の食事療法を効果的に行なうために、NCEP ATPⅢは低飽和脂肪酸食と植物ステロールや水溶性食物繊維を含くむ食事の摂取を推奨しており、AHAは 大豆蛋白やナッツの摂取を推奨している。

目的:
血清コレステロ-ルを低下させるために推奨されている食品をすべて含んだ食事と、ロバスタチンの効果を比較する。

様式:
2002年10月から2002年12月、ランダム化比較試験。

対象:
参加者は、46人の高脂血症(男性25人、閉経女性21人)、年齢は59(1)、BMIは27.6(0.5)であり、カナダの病院の受診者と地域住民からリクルートした。

介入:
参加者は、3群に無作為に割り付けた。対照群の食事は低飽和脂肪と製粉全粒小麦と低脂肪食とて、16人を割り付けた。スタチン群には対照群の食事にロバスタチン20mg/dを加え、14人 を割り付け、ポートフォリオ群には植物ステロール1g/1000kcal、大豆タンパク21.4g/1000kcal、水溶性食物繊維9.8g/1000kcal、アーモンド14g/1000kcalを食事に添加し、16人を割りつけた。

主要評価:
空腹時の血清脂質とCRP、血圧、体重。測定は、0、2、4週に行なった。

結果:
対照群、スタチン群、ポートフォリオ群の各群において、LDLコレステロールの低下%(SE%)は、8.0%(2.1%、P=0.002)、30.9%(3.6%、P<0.001)、28.6%(3.2%、P<0.001)であった。CRPの 低下は、10.0%(8.6%、P=0.27)、33.3%(8.3%、P=0.002)、28.2%(10.8%、P=0.02)であった。スタチン群とポートフォリオ群の低下は、対照群に比較して有意であった。スタチン群とポートフォリオ群の間 では、有意な差はなかった。

考察:
本研究により、様々なコレステロール低下作用のある食品を組み合わせることに より、スタチン内服と同程度のコレステロール低下作用が期待できる。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■食事の味や香りで割付が分かるのではないか?

そうかもしれない。Efficacy of Blinding を検討しても良いと思う。

■介入食の熱量は介入前の食事の熱量より大きいのはなぜ?

熱量の所要量は生活活動強度や体格を参考に決められていると思う。
提供した食事の内、どの位を摂取したかを評価しても良いと思う。

■解析方法について

トライアルを終了したものが解析の対象になっている。
ITT解析をまずは行なっても良いと思う。結果はP値を用いて表現したほうが良いと思う。

■参加者はなぜ男女両方を募集しているのか

サンプルサイズを満たすためだと思う。
米国では、NIHが女性や少数民族を臨床研究の被験者として組み入れるポリシーを発表している。こういう影響もあるのかもしれない。

前のページに戻る