■ジャーナルクラブ通信バックナンバー
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Angiotensin-converting enzyme Insertion/Deletion genotype, exercise, and physical decline
~アンジオテシン変換酵素の挿入(I)/欠失(D)多型と運動,機能低下~
~アンジオテシン変換酵素の挿入(I)/欠失(D)多型と運動,機能低下~
JAMA (2005) 294: 691-698
著者:Kritchevsky SB, Nicklas BJ, Visser M, et al.
著者:Kritchevsky SB, Nicklas BJ, Visser M, et al.
- <論文の要約>
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背景:
運動に応じた身体機能はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) の遺伝子型により影響を受けることが若年者において報告されているが,その関係が高齢者においても同様に説明できるかどうかは十分な研究がなされていない.
目的:
適切に機能している高齢者において,ACEの遺伝子型と移動制限の発生率に影響を及ぼす身体活動との相互作用を検討すること.
対象:
ペンシルバニア州・ピッツバーグとテネシー州・メンフィスで行われたHealth ABC (Aging and Body Composition) study. 1997-1998年に70-79歳の適切に機能している高齢者3075人が募集され,平均で4.1年間追跡された.
指標:
移動制限発生率(半年ごとのインタビューで0.4 km歩くことが困難であるか,あるいは10段の階段を昇ることが困難であるという報告で定義)
結果:
身体活動を行っている人 (運動やウォーキング,階段の昇り降りで1000 kcal/wk以上消費していたと報告した人) は遺伝子型に関係なく移動制限を生じる人が少なかった.
しかしながら,ACEの遺伝子型と活動レベルは有意に関連していた (p=0.02).
非活動群ではACEの遺伝子型は移動制限と関連していなかった (p=0.46).活動群では交絡因子で調整後,II型がID/DD型と比較してより移動制限を生じやすかった (RR = 1.45 95% CI = 1.08-1.94).
この関連はウェイトリフティングを行っている人で特に強かった.
活動群において,II型を持つ人は体脂肪率と大腿の筋細胞内脂肪が高かったが,大腿四頭筋の筋力はID/DD型と同様であった.
結論:
運動を行っている高齢者ではACEのDD/ID型がII型に比べて移動制限を生じにくい.
しかし,遺伝子型に関係なく,運動を行っている人は行っていない人よりも移動制限を生じにくい.
- <ジャーナルクラブでのディスカッション>
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■ACE遺伝子のDD型は心疾患との関連も報告されており,D型を持ち心疾患で死亡した人は対象に含まれないため,この結果は過小評価となっているかもしれない.
■移動制限の評価方法が自己申告であり,本研究の大きな限界である.
■70-79歳の高齢者でウェイトリフティングを行っている人が7.6%もいることは驚きである.
■適度な運動は,健康なライフを送るための必須アイテムだよね.
クラ坊:ウンショ、ウンショ
ジャー吉:「クラ坊なにやってるの?」
クラ坊:「ばぶー(ぼくII型だからウェイトリフティングして要介護にならないように頑張ってるの)」