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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2007.02.28

2007年2月28日 担当:滝川、内藤

Symptoms of stress incontinence 1 year after childbirth: prevalence and predictors in a national Swedish sample
~ 分娩後1年における尿失禁症状:スウェーデンのナショナルデータにおける尿失禁の有病率とその予測因子 ~
出典: Acta Obste Gynecol Scand 83:928-936,2004
著者:SERICA SCHYTT, GUNILLA LINDMARK, ULLA WALDENSTROM
<論文の要約>
はじめに:
本研究の目的は、スウェーデン人女性の分娩後1年の腹圧性尿失禁の有病率と予測が可能な因子を明らかにすることである。

方法:
1999年5月の1週間・9月の1週間・2000年1月の1週間に、はじめてクリニックにくるスウェーデン語が話せる女性全員に研究参加を依頼した。
スウエーデンの608クリニックに依頼し、593クリニックが参加した。Swedish Medical Registerに基づくと、その時期に妊娠中のケアを受ける予定がある妊婦は5550人と推定された。そして、不参加15クリニック(75人)と流産(425人)、非スウェーデン人(550人)を除いた人で4500人の資格者がいた。そのうち3191人(71%)が同意した。全体で2450人が、3つのアンケートに記入した。多胎児を出産した女性は除外された。
質問紙法で妊娠早期・分娩後2ヶ月そして分娩後1年の時点で尿失禁の有無と、それに関連すると思われる因子について調査された。

結果:
分娩1年後に腹圧性尿失禁が22%の女性にあった。そしてそのうち2%の人にとっては重大な問題だった。腹圧性尿失禁の予測因子としては、経膣分娩後4~8週の尿失禁があげられた。このことは経腟分娩群だけでなく、帝王切開術後の群にもあてはまった。経膣分娩の女性では他に予測因子が3つあった。経産婦、肥満と産褥4~8週の便秘であった。

結論:
分娩後1年における尿失禁は一般的な症状である。そしてそれは分娩後1~2ヶ月の健診において尿失禁の有無を確認することで、症状のある人を減らすことができるかもしれない。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
・尿もれと尿失禁の違いは?(定義上)

・妊娠前→妊娠中→出産後と尿失禁の割合が変化しており、これが研究のモチベーションになっているのだろう。

・重症度について、先行研究では考慮されておらず、そのことが尿失禁の割合のばらつきにつながっているかも。

 →今回の文献では検討されていた。

・全国データと、そこから抽出した対象者の背景などを比較しているが、全国データは同じような基準で比較されているのだろうか?(多胎を除いているかどうかなどについての記載がない)

・探索的な研究のときには、今回のような順序で、単変量解析から多変量解析のモデルを作ることが多い。

・なぜORの表でall womenが示されているのか?
 →層化しているのだから、本来は必要ないのでは。

・諸外国でのpostnatal visitなどはどのように行われているのだろうか?
 →そういったシステムがないと今回の結論を生かすことは難しいかも。

・骨盤底筋体操の国際的なstandardはあるのだろうか?

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