PAGE TOP

国立大学法人

山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2007.04.19

2007年4月19日 担当:鈴木、森山、関口

Interaction between the dopamine D4 receptor and the serotonin transporter promoter polymorphisms in alcohol and tobacco use among 15-year-olds
~ 15歳の喫煙とアルコール摂取における、ドーパミンD4レセプターとセロトニントランスポーター遺伝子多型との相互作用 ~
出典: Neurogenetics. 2006 Nov;7(4):239-46. Epub 2006 Jul 4.
著者:Skowronek MH, Laucht M, Hohm E, Becker K, Schmidt MH
<論文の要約>
目的:
思春期のアルコール、タバコ摂取における、DAD4レセプターとセロトニントランスポーター遺伝子型の効果とそれらの相互作用を調べること。

方法:
研究参加者は、ハイリスクな集団における384人で構成されたバースコホートによる縦断研究の参加者である。15歳時に、彼らはタバコとアルコール摂取についての自記式調査票に回答した。これには生涯のアルコールとタバコの使用、現在と過去の使用頻度、薬物を使用した量が含まれている。この調査票はWHOと協力してMuller and Abbetによりデザインされた薬物使用質問表(SUQ)の一部である。SUQは大規模スイス疫学研究で使われている。この研究では思春期直前期の集団と青年期の集団の薬物使用の頻度と相互関連について研究した。この研究では強い収束的妥当性を示している。さらに最近の6ヶ月間のアルコール摂取量を生涯飲酒歴により評価した。一ヶ月ごとに消費するアルコールの平均の量と機会ごとに消費する最大のアルコール消費量の測定値を得た。喫煙の頻度と量を反映している喫煙状況を測るため、回答を以下の4つの変数にまとめた。(1)never used (2)experimental use (smoked up to once per month) (3)regular use (at least weekly)(4)dependent use (daily smoking>10 cigarettes per day)。DNAは305人の参加者(男子146人、女子159人)から得られ、DRD4のexonⅢと5-HTTLPRの遺伝子多型についてジェノタイピングされた。

結果:
DRD4の7回繰り返し配列は、男子の喫煙と飲酒の増加に関連していた。女子においては、DRD4と5-HTTの有意な相互作用が確認された。DRD4の7回繰り返し配列がなく、5-HTTLPRの長い塩基配列のホモ接合を持つ女子は、喫煙と飲酒について高い活動性を示した。

結論:
結果は特定の遺伝子型の組み合わせが性や発達特有の行動に異なって影響しているかどうかの疑問に取り組む重要性を強調している。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
・薬物乱用の原因となる薬物はタバコやアルコール以外にもある。なぜこの研究グループはタバコとアルコールに限定し考えたのだろうか。この疑問については言及されていない。

・この研究では psychosocial risk score と obstetric adversity scoreが測定されているが、参考になるので関連する文献を取り寄せることにしよう。

・この研究は参加者のアルコールの摂取と喫煙行動を明らかにするために、substance use questionnaire (SUQ)を使用している。この質問紙は興味深いので是非入手したい。

・統計解析において、多重比較の問題も考えられる(偶然により有意差が出た可能性)。しかし、解析方法を変えても同様の結果が得られていることから、本研究の結果についてはその可能性は低いかもしれない。

・この文献はIntroductionが比較的長い。最近の論文では、一般的にはもう少し短いものが多い。

前のページに戻る