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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2007.11.21

2007年11月21日 担当:森川、関口

Tobacco free workplace policies and low socioeconomic status female bartenders in San Francisco
~ サンフランシスコにおける職場の禁煙条例と社会経済的に低い地位の女性バーテンダー ~
出典: J Epidemiol Community Health. 2006 Sep;60 Suppl 2:51-6.
著者:Moore RS, Lee JP, Antin TM, Martin SE.
<論文の要約>
目的:
バーやレストランの労働者は、他の労働者と比べ、健康問題のリスクを増加させる高レベルな受動喫煙に曝されているということが複数の研究によってわかっている。これらのバー従業員には社会経済的地位の低い女性が多い。職場の禁煙条例は米国全土の都市や州のバーやレストランに拡大適用されているが、この法律に従わないままのバーもある。この研究の目的はバーテンダーの性とバーの職場禁煙を順守することの関係を評価することである。

デザイン:
この研究論文では、バーのバーテンダーと常連客に半構造面接を行なうことで得られた質的データと共に、121の無作為に抽出されたバーにおける禁煙職場政策の順守に関する観察的なデータ分析結果について報告している。

設定:
サンフランシスコ郡にあるバー

主要な結果:
女性がバーテンダーであることと禁煙条例を順守しないこととの間に関連があることが、本研究により明らかとなり、女性バーテンダーは男性バーテンダーと比べて、たばこにより暴露されていた。
面接では、女性バーテンダーの中には禁煙条例に相反する感情を示すものもいたが、多くの人は職場であるバーの室内から煙をなくすことができたとき、健康へのプラス効果や社会的重要性を経験したと述べていた。

結論:
本研究の分析結果より、バーを含む全ての職場に強力な禁煙職場政策の拡大を行うことで、社会経済的に立場が低い女性バーテンダーのために職場環境を改善することの利点が明らかとなった。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■この研究は記述疫学として大切な研究である。

■これまでに複数の先行研究により、バーやレストランの労働者は他の労働者に比べ、受動喫煙により多く曝露されているということが報告されている。このようなバーテンダーを対象にした研究がたくさんあることは興味深い。

■Table 1でアメリカのバーテンダーの人数が明らかになっている。アメリカの国勢調査の職種の欄にバーテンダーという欄があるのだろう。

■対象のバーの法(the smoke free workforce act)の順守状況を観察しに行く際、事前にどの程度、バーのオーナーなどに研究参加の依頼や説明を行なったのだろうか?

■研究の結果はアジア系とアイリッシュ系の人を客とするほとんどのバーで法を順守していないことを明らかにした。考察で前者が法を順守していない理由について言及しているが、後者で順守していない理由は述べていない。



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