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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

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2008年2月20日 担当:内藤、森川

Creutzfeldt-Jakob disease mortality in Japan, 1979-2004: analysis of national death certificate data.
~ 1979年~2004年の日本におけるクロイツフェルト-ヤコプ病の死亡率 ―全国的な死亡診断書データの分析-
出典: Journal of Epidemiology. 2007, 17(4):133-9.
著者:Doi Y, Yokoyama T, Sakai M, Nakamura Y
<論文の要約>
背景:
日本におけるクロイツフェルト-ヤコプ病(CJD)の死亡率は、未だに不明瞭である。この研究のねらいは、1979年から2004年のCJDの年次の死亡率を評価し、日本におけるCJDの死亡の傾向を検討する事である。

方法:
CJDによる死亡の確認は、全国的な死亡診断書に基づいた(ICD9のコード046.1とICD10のコードA81.0)。年齢調整別の死亡率の傾向は、joinpoint回帰分析を含む時系列分析で調査した。

結果:
全死亡者数の1966名(男性862名、女性1104名)は、死亡原因の基となるCJDのコードで同定をおこなった。実際の年間の死亡者数と死亡率は2004年がピークで、死亡者は163名(男性66名,女性97名)、100万人に対する年間の死亡率は1.28(男性1.06、女性1.48)であった。年齢を特定した死亡率の急速な増加が認められたのは、特に女性の50歳から74歳で、また80歳を超えると急激に減少していた。観察の期間を通して、特に重要な変化ポイントはなく、年間の変化率は男性3.09%(95%信頼区間2.18-4.02)、女性3.90(2.98-4.83)であった。CJDによる50歳以下の死亡総数は131人で、この年齢層の過去数年の死亡率の増加は見られなかった。

結論:
死亡証明書を基本としたCJDの死亡は、日本では1979年から2004年の期間に著しい増加を示した。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■日本におけるクロイッフェルト・ヤコブ病(CJD)の発生が増加していることについての論文である。CJDに関しての基本レベルでの分類・病態・臨床経過・発生頻度などについて、注目していく必要がある。

欧米諸国のCJDサーベイランスシステムはどのように整備されているか?

joinpoint回帰分析が用いられているが、本論文ではCJDの発生が増加について変換点が認められなかったため、自然経過による増加と考えられる。joinpoint回帰分析・移動平均など時系列分析に関係する方法について、さらに詳しい学習が必要である。

時系列の疾病発生のトレンドを検証する方法として他にはどんな分析方法があるのか?

いわゆる死亡診断書の内容(項目・細かさ)やコード化される経過なども含めて、調査データとして利用する利点と限界について考える必要がある。

中国(香港を除く)ではCJD発症は確認されていない。



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