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山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

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2008年9月17日 担当:依田

Using built environment characteristics to predict walking for exercise
~ ウォーキングを実施する生活環境の確立について~
出典: International Journal of Health Geographics 2008, 7:10
著者:Gina S Lovasi, Anne V Moudon, Amber L Pearson,et.
<論文の要約>
背景:
ウォーキングへの環境は、定まったライフスタイルや疾患予防に繋がることが示唆されている。最近の研究において、ウォーキングの実施への生活環境に関するモデルについて検討されている。同じようなデータに基づいた発展的なモデルは、他の独立した対象においてもウォーキングの実施において読み取ることができる。最も的確なモデルとしては、様々な対象において開発的・評価的なモデルをふまえ、単純で有効的に整えられた研究に於いて確立することができる。私たちは家の近くでウォーキング実施への環境を確立について2つの試みをした。研究では、西部ワシントンに在住で健康維持をしている成人を対象にし身体的データは電話によるインタビューや心疾患との関連を選択して研究していた。サンプルの限界としては、特に心疾患についての病歴が無く健康であるという申し出のあった対象者に制限したことであった。

研究方法:
1.研究計画と研究対象:
ワシントンにおけるHVH研究のケースコントロール群を研究の対象とした。HVH研究は、心疾患に関する研究において薬理的な効果に関する研究デザインの1,608のコントロール群のデータを活用した。ワシントンの健康維持を目指す組織にある30-79歳の者をランダムで選出した。

2.身体的状況と対象者の特徴:
電話によるインタビューによってミネソタ式身体活動質問項目を活用した。調査は1ヶ月のインターバルをおき1年以上繰り返した。HVH研究は、26タイプのウォーキングを含んだ身体活動に関して調査した。電話によるインタビューは健康状態、喫煙、仕事、教育について質問する。高血圧症や糖尿病の治療についての記録、身長・体重の記録等について調査項目を含んでいた。

3.所在地とコーディング:
密集した所在地は12月における参加者のデータから収集した。自動ソフトバージョン4.7を活用し、97%は住所の入力に成功した。1km四方においてArcView3.2のソフトを活用した。同じ地理的地域と歩行者への浸透性を根拠とした。1kmは、足を保護できる適度な距離としてを選び、環境の基準とした。所在地は1つのブロック、またはセンサス、郵便番号を活用して分割した。

4.環境データの構造:
道路、公園そして行政区画になっている地図における5つの研究はワシントン、市や行政区画のデータを通して収集した。環境に関するデータは、1998と2005間のものである。最近のデータで7つの環境因子を活用した。 密集度は1km範囲の家の密集度を設定し、道路が交差する区画または家の繋がりによって設定した。7つの歩く距離(食料店、学校、レストレンやバー、銀行、食料店とレストラン、事務所との関係、学校と教会の関係、フットネスや公園)1kmと距離とのいくつかのタイプで計算した。1kmにおいて人々が活用する公園とし、公園地図を活用し、目的はタクシーが活用しているコードで発見した。

5.統計的分析:
環境要因の確立はウォーキング実施の為に施行された。すべての対象者はウォーキング実施者と未実施者とを比較して、ロジスティックモデルでの分析と、1週間毎のウォーキングにかけた時間に関する線形モデルで解析をしている。1つの環境因子をテストし、ウォーキングの要因として活用するモデルとした。Training set(対象者の2/3からランダムに選出した者)とvalidation set(残りの1/3の者)は人口統計、社会経済、健康やウォーキングの環境との関連を分析していく。環境要因は分類または影響との対数によるモデルであった。ウォーキング実施群:対象者の2/3のランダムに選出した者と、確認できた群:残りの対象者はウォーキングの環境要因や健康状態等が類似していた。対象者の58%が占めていた面積はキング地方に住んでいた。距離についてのタイプは、500m、500-1000m、または1000m以上にカテゴリされた。密度、近隣、歩道、利用性、公園へのアクセスの常用対数を算出した。ウォーキングにかかる時間は週のウォーキングの時間で算出した。さらに WBC研究モデルを活用して検討した。密度、家やブロックサイズ、歩行の利便性、学校数、レストランまたはバー、食料品店そして食料品店とレストランとの関係、私たちは、私たちの研究またはWBC研究のデータに基づいて評価した。ロジスティックモデルはC-統計を活用した。

結果:
1,608名を対象者として、年齢は64歳、90%が白人、37%が大学卒、62%がウォーキングをしていた。住居密度や接近度のような単純な環境はウォーキングの習慣化にはあまり重要ではなかった。運動実施の確立に逆行する環境モデルとしてはまだ検証されていない。私たちは、近隣の人々と生活する範囲でウォーキングするその重要な違いを明らかにはできなかった。

結論:
自宅近くの環境構造は、西ワシントンにおける健康な人々においてウォーキングを実施にどう関わっているのかが、分からなかった。様々な環境ではなく近所のちょっとした環境が重要である。環境構造は、運搬のようなはっきりとした目的のためにウォーキングをサポートしているのかもしれない。これらの結果は多くの事例に置いてウォーキングの様々な形の隣近所同士の環境データが不足していることが反映していた。
私たちの研究の結果、環境の構造はウォーキングの要因として今後検討がされるだろう。将来的な研究としては、ウォーキングの異なるタイプや評価、身体活動や健康のアウトカムを固める必要がある。正確な予測、経済効果、介入研究やヘルスプロモーション推進について進めていく必要がある。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■Abstractで、研究の方向性はどのような展開となるのか 論文の全体像及び方向性を大きく把握することが重要である。本研究でいうと、「歩く」という中心的テーマに繋がる環境の要因が、どう環境と関連していくのかの視点にたって研究全体を読み取ることが必要である。例えば「歩く」がどのように定義されているのか、「walking」ではなく「walking exercise」という概念のとらえ方で、そこから、各場所までの距離を500m以下、500~1,000m、1,000m以上という独立変数の設定をしているが、この設定で適切なのかどうか、研究結果も異なってくるのではないか。

■研究デザインの骨子となるmethodsは、研究をきちんととらえるためにも丁寧に全部を訳す様につとめること、その上で研究結果である図表を読みながら、その過程を文献で内容を追い検討していくことが、要旨を的確に捉える為にも重要である。今回Methodsにおける対象についてみると、対象は別のHVH研究において、ケースコントロール群であった対象をデータとして研究が実施された。既にある対象に対して電話によるインタビューでデータ収集をしている研究方法なので、コホート研究であるという確認がされた。このことからMethodsを見極めるには時間軸をきちんと踏まえ捉えることが重要である。

■本研究はウォーキングとその環境要因について検討された結果、環境モデルとしては証明されなかった。しかし、日常生活の基準を設定し、ウォーキングという行動との関連について、研究方法の設定が詳細に検討されていた。この設定で検証されなかったという研究結果が次の研究に繋がっていくため、本研究は重要となる。また本研究は都市計画や政策に関する様々な研究が協働して研究にあたっている。ヘルスプロモーションという視点から、住民の生活行動と明らかにしていくという点では、このような研究は今後も重要であるのではないか。









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