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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2009.4.8

2009年4月8日 担当:高橋

Perinatal Risk Factors for Hospitalization for Pneumococcal Disease in Childhood: A Population-Based Cohort Study
~ 幼児期において肺炎双球菌による肺炎が原因で入院する周産期のリスクファクター ~
出典: Cancer. 2007 Jan 15;109(2):322-31.
著者:Barbara E. Mahon, Vera Ehrenstein, Mette Nørgaard, Lars Pedersen, Kenneth J. Rothman and Henrik T. Sørensen
<論文の要約>
目的:
本研究の目的は、幼児期の肺炎双球菌による病気が原因の入院を引き起こす出生時の要因関係を明らかにすることである。

方法:
1980年から2001年まで、西デンマークの三つの郡において単体で生まれた子どもを対象にコホート研究を行った。妊娠と出生に関する変数データや12歳までの入院歴は、人口ベースの登録を利用した。我々は肺炎双球菌による入院を引き起こす率を、研究変数全体と変数層間で計算した。

結果:
338,504人の対象者のうち1052人が肺炎双球菌による病気で入院した。肺炎は入院の大部分を占め81.9%であった。肺炎双球菌による肺炎の入院は、7~24ヵ月で最も高く、続いて0~6ヵ月、25~60ヵ月で高い。入院率は0~6ヵ月、7~24ヵ月の早産児、低出生体重児、生後5分後のApgarスコアが低い子どもで高かった。第一子の0~6ヵ月における入院率は低かったが、それ以降の年齢ではそうではなかった。上の年齢では出産経験のある非喫煙者の母親から生まれた子どもの入院率とそうでない母親の子どもの入院率に実質違いは見られなかったが、0~6ヵ月では違いが見られた。調整後の比率は、低出生体重、奇形、生後5分後の低Apgarスコアといった、いくつかの変数内で年齢区分全体にわたって上昇していた。早産、母親が出産経験のある場合や20歳以下の場合、デンマーク市民でない場合は、調整後の比率は0~6ヵ月児でのみ上昇していた。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>

Table3において0~6ヵ月の入院率は、第一子では母親が非喫煙者の場合の方が喫煙者の場合よりも入院率が高くなる。第二子以降では逆に、母親が非喫煙者の場合の方が入院率は高くなる。このことは、喫煙者の母親から生まれた子どもの免疫力が高く、入院しづらくなるのではないかと話し合われた。
Table4で、妊娠期間を変数にとった場合の入院率は、0~6ヵ月では早産児が最も高いのに対して61~144ヵ月では過期産児で高くなっている。また、変数内での入院率の差は年齢が大きくなるほど小さくなる傾向にある。これは、妊娠期間の違いによる影響が幼児の成長につれて小さくなることを表している。
上の年齢では、出産に関する要因よりも母親の出産経験(兄弟がいるかどうか)といった環境に関する要因が大きく影響するのではないだろうかと話し合われた。
周産期の要因は出生直後に大きく影響し、幼児が成長するにつれてその影響は小さくなると言えるだろう。







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