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山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2009.5.13

2009年5月13日 担当:依田

Community occupational therapy for older patients with dementia and their care givers: cost effectiveness study
~ 認知症の高齢患者とその介護者のための地域作業療法: 費用対効果研究 ~
出典: BMJ 2008;336;134-138
著者:Maud J L Graff ,Eddy M M Adang Myrra ,J M Vernooij-Dassen ,Joost Dekker ,L Jönsson ,Marjolein Thijssen ,Willibrord H L Hoefnagels and Marcel G M,Olde Rikkert
<論文の要約>
目的:
社会的観点から認知症高齢者とその介護者の通常のケアと比べて地域を基盤とした作業療法の費用対効果を検証する

デザイン:
費用対効果研究(一重盲検化RCT)

セッティング:
もの忘れ外来、老人外来部門、及び参加者の家庭

対象者:
地域で生活している軽度で穏やかな認知症を持つ65歳以上の高齢患者135名とその主介護者

介入:
5週間に渡り10セッションの認知行動介入―患者の認知力の低下防止と介護者の行動適応と管理-を含む作業療法。

メインアウトカム測定:
患者とその介護者単位で、患者は、AMPS-process(自発運動と過程技能アセスメント)の過程スケール、IDDD-performance(認知症による日常活動悪化インタビュー)の遂行力スケール、介護者は、SCQ(能力感覚質問紙)の能力スケールのアウトカムを測定し、3ヶ月後の無作為化比較での総ケアコスト平均の違いとして費用対効果の比を出した。

結果:
患者と主介護者の、3カ月の介入コストは、€1183 (£848, $1738) (95%CI( €1239 (£888, $1820)-€ 1128 (£808, $1657))であった。町医者の訪問と病院医のコストは両群とも同じであったが、総コスト平均は、非公的ケアの節約コスト平均と共に介入群の方が低かった。3ヶ月で、成功療法の3 6%で有意差がみられた。3ヶ月における成功療法で扱う必要数は2.8人(2.7-2.9)であった。

結論:
認知症高齢者とその介護者への地域作業療法介入は成功し、特に非公的ケアの提供で費用対効果が良い。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■この論文では、社会的観点からの経済分析がなされ、各種のヘルスケアコストだけではなく、介護者の生産性に関わる利得と損失を見積もったコストも含んでいるところが特徴でありおもしろい。

■この研究は、作業療法の3ヶ月だけの介入効果をみているが、その期間だけでよいのか。長期的なコストはどうなったかをみれるとより面白い。

■日本では、介護保険制度のコストは明確に出ているので、介護に要した費用のみなどを分析するのであれば、かなりの精度で日本でも実施できるのでは。



 クラ坊:「ほぎゃー!ほぎゃー!(オモチャが見当たらないよー)」

 ジャー吉:「ほらこれやるから泣きやみな」

 クラ坊:「ほぎゃー!(これじゃやだー!)」

 ナル美:「じゃあ小遣い1000円あげるから買ってきたら?」

 クラ坊:「ほ、ほぎゃ…ぁ…(お、まあオーケー)」

 ジャー吉:「費用対効果、わるー!」


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