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2009年6月17日 担当:近藤
Neighborhood context and cognitive decline in older Mexican Americans: Results from the Hispanic Established populations for Epidemiologic Studies of the Elderly
~ メキシコ系米国人における、近隣状況と認知能低下 ~
~ メキシコ系米国人における、近隣状況と認知能低下 ~
出典:
American Journal of Epidemiology 2009 169:1092-1101
著者: Kristin M Sheffield and M Kristen Peek
著者: Kristin M Sheffield and M Kristen Peek
- <論文の要約>
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背景:
 高齢者の認知機能低下に関する先行研究では、近隣環境について検討されていなかった。地域の社会経済状況およびメキシコ系米国人の割合、という2つの地域レベルの要因を考慮して、それらの要因が1993-1998の5年間の追跡研究における認知機能の変化と関連するか検討した。
 
 方法:
 米国南西部にすむメキシコ系アメリカ人高齢者3050人の追跡研究であるHispanic Established populations for Epidemiologic Studies of the Elderlyのデータを用いた。個人データを1990年米国国勢調査データとリンクさせ、地域特性を評価した。階層線形成長曲線モデルと階層的ロジスティックモデルにより地域レベルおよび個人レベルの説明要因と認知能低下の発生との関連を検討した。
 
 結果:
 ベースライン時の認知機能および認知機能の低下割合は国勢調査区により有意に違っていた。経済的に不利な地域に住んでいる高齢者は、そうでない人々よりも認知機能が低下する速度が大きかった。地域のメキシコ系米国人の割合に比例して、認知機能低下の発生オッズは低下したが経済的剥奪に比例しては反対に増加した。
 
 結論:
 個人要因とは独立して、近隣環境はその後の認知機能と関連していた。
 
 
- <ジャーナルクラブでのディスカッション>
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■因子分析により地域特性をまとめあげ、時間・個人・地域の3レベルの多重レベル分析により個人の認知機能の変化を説明するモデルにおける地域の特性の役割を検討した論文。
 ■欠損値が結果に与える影響、異なる認知機能低下のカットオフポイントを用いた感度分析など、データの信頼性を担保する努力がきちんとなされていてよい。
 ■3レベルモデルにおける地域レベル固定効果変数の推定値が記載されていないためその辺の振る舞いがわからない。
 ■因子分析結果も載せてほしい。
 
