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山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

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2009年10月14日 担当:下園

Weight loss with a low-carbohydrate, Mediterranean, or low-fat diet.
~ 低炭水化物、地中海式、低脂肪の食事療法による体重減少 ~
出典: N Engl J Med. 2008 Jul 17;359(3):229-41.
著者: Iris Shai, R.D., Ph.D., Dan Schwarzfuchs, M.D.他
<論文の要約>
背景:
体重減少を目的とした食事療法の有効性及び安全性を比較しているこれまで研究は、フォロー期間が短く、脱落者の割合も高いなどの限界があった。

方法:
322の中程度の肥満対象者を無作為に割り付け2年間追跡した(平均年齢52歳、BMI平均31、男性86%)。3つの食事療法つまり低脂肪でカロリー制限したもの、地中海式の食事でカロリー制限したもの、そして低炭水化物でカロリーを制限していないものを比較した。

結果:
ダイエットを継続成功者は1年目で95.4%、2年目で84.6%であった。地中海式ダイエットグループでは、食物繊維を大量に摂取し、単不飽和脂肪酸の割合が最も高かった(全グループとの比較でp<0.05)。
低炭水化物ダイエットグループでは、少量の炭水化物と大量の脂肪、たんぱく質、コレステロールを摂取し、尿中にケトンが検出された参加者の割合が高かった(全グループとの比較でp<0.05)。
体重減少の平均は低脂肪ダイエットグループで2.9㎏、地中海式ダイエットグループで4.4㎏、低炭水化物ダイエットグループで4.7kgであった(交互作用は各グループ間及び時間、p<0.001)。
介入が完了した272人で、体重減少の平均は、それぞれ3.3㎏、4.6㎏、5.5㎏であった。HDLコレステロールの総コレステロールの比率の相対的減少は、低炭水化物ダイエットグループで20%、低脂肪ダイエットグループで12%であった(P=0.01)。
糖尿病患者36人に限定して解析したところ、空腹時血糖とインスリンレベルの変化は、地中海式ダイエットグループの方が、低脂肪ダイエットグループに比べて改善していた(交互作用は糖尿病、地中海式食事療法、空腹時血糖に関する時間、P<0.001)

結論:
地中海式ダイエットと低炭水化物ダイエットは、低脂肪食の代替として効果的かもしれない。脂質(低炭水化物による)と血糖コントロール(地中海式食事療法による)における有益な効果が見られたことから、優先度と代謝性を考慮した個別のダイエット法の選択をする、といった応用法が考えられる。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■BMI変化の程度が同じでも、インスリン抵抗性やコレステロール値などへの効果が食餌法によって異なるのは非常に興味深い。単にダイエット法の比較というだけでなく、メカニズム解明の点でも面白い論文だ。

■なんで低炭水化物ダイエットがこれほど効果的なのか。メカニズムを知りたい。棟生成のための脂肪燃焼やたんぱく質燃焼の回路が活性化されるのか?

■反復測定データを分析する際は、自己相関の調整が必要。今回はシンプルにGEEを使った模様。



 ジャー吉 : 「地中海食か…僕は日本海がいいなあ。越前カニダイエットで決まり!」

 ナル美 : 「オホーツク海食もいいよね。ホタテダイエットなんかどうかしら。高たんぱくよ。」

 クラ坊 : 「ばぶー(とりあえず、財布は激ヤセしそうだね)。」






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