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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

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2009年10月29日 担当:丸山

Head size at birth and long-term mortality from coronary heart disease
~ 出生時の頭囲と冠状動脈性心臓病の長期死亡率 ~
出典: International Journal of Epidemiology 2009;38:955-962
著者: Kari R Risnes, Tom I L Nilsen, Pål R Romundstad and Lars J Vatten
<論文の要約>
背景:
低出生体重が成人期の心臓病リスクの上昇に関連していることを示す多くの研究があるが、この関連が遺伝要因によるのか、非遺伝的要因によるのか、あるいは成人の肥満のようなライフ・コース暴露によるものなのか、論議になっている。冠状動脈性心臓病(CHD)の死亡と出生時の頭囲の関連を調査し、それが母親の身長と成人期の体格と関連するかを分析した。

方法:
1920~59年の間に出生した男女35,846人について1961~2005年まで死亡率をフォローアップした地域コホート研究。

結果:
フォローアップ中に630人がCHDで死亡した。頭囲とCHD死亡に負の相関がみられた(トレンドP=0.010、母親の身長と成人期の体格も調整)。母親の身長が高く成人期の体重が大きく頭囲が最も小さい人々は、CHD死亡のリスクが最も高かった。

考察:
出生頭囲は大きいほどCHD死亡リスクが低く、頭囲が小さく母親が高身長、もしくは頭囲が小さく成人期肥満ありという組み合わせが最もリスクを高めた。遺伝因子(成長の可能性と子宮内発育)と非遺伝因子:ライフ・コースに渡る行動(子宮内発育制限と後の体重増加)とが、成人期の心疾患への出生サイズの影響の中間要因となっている可能性がある。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■ノルウェーの国民IDを活用したコホート研究。ノルウェーの栄養調査は悉皆調査。全国民のBMIを調査している・・・

■母親の身長と児の出生時身長との関連の方が大きいと考えられるが、乳児の身長計測は誤差が大きいため頭囲の測定値を分析したのか。

■出生直後の頭囲は、産道の大きさや出産法、頭の向きなどに影響をうけるため、過小評価と誤差がある。

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