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山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2009.11.9

2009年11月9日 担当:近藤

Marital Trajectories and Mortality Among US Adults
~ 米国成人における婚姻状況の推移と死亡 ~
出典: American Journal of Epidemiology 2009;170:546-555
著者: Matthew E. Dupre, Audrey N. Beck, and Sarah O. Meadows
<論文の要約>
概要:
婚姻状況と健康との関連を明らかにした実証研究は多いが、婚姻状況の長期推移が危険因子に与える影響についてはあまりわかっていない。1992-2006年の米国成人のコホートデータを用いて、現在の婚姻状況、婚姻時期、離婚、そして死別の推移、そして婚姻期間を記録し、その死亡に対する影響を検討した。多変量調整ハザード比は現在離婚あるいは死別の状態、18歳未満での婚姻、離婚や死別を繰り返している助成、そして1-4年以上離婚状態にある人で有意に死亡リスクが高かった。さらに、25歳以上で婚姻した男と10年以上離婚あるいは5年以上死別の状態にある女では、そうでない状況にある人々に比べて有意にリスクが低かった。男女とも、婚姻状況が長期にわたることが、長期生存を最も強く予測していた。リスク調整した結果では、社会経済的支弁、健康行動、健康状況が男女それぞれに異なった形で婚姻状況の推移と死亡との関係を説明していた。以上より、婚姻状況と死亡との関連を調べてきたこれまでのアプローチは、その関連性を単純化しすぎている可能性がある。また、結婚経験と、それに関連する健康リスクとのつながりが男女で異なることが、本研究結果の男女差の理由であると考えられた。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■はじめの10分程度でスキム・リーディングにより概要を掴んだ後、先行研究レビュー部分・方法・ディスカッションの各パートのうち重要な部分を詳しく読み込んだ。
■結局精読する場合より早く読めて、内容の深い理解も十分できたように思う。

<内容について>
■Health and Retirement Studyを用いている。結果は納得がいく。
■結婚という経験が、男女それぞれのライフコースに渡る健康リスクをどう変化させ、寿命を決定していくのかを明らかにできるアプローチ。結婚の問題は文化的・社会経済的要因の影響を強く受けることが考えられるため、様々な国や時代のデータを用いて再検討してみたい。


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