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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2009.12.2

2009年12月2日 担当:高橋

Association Between School Closure and Subsequent Absenteeism During a Seasonal Influenza Epidemic
~ 季節性インフルエンザ流行期間における休校とその後の欠席の関連について ~
出典: EPIDEMIOLOGY (Vol20, No6, 787-792 )
著者: Carla V. Rodriguez, Krista Rieberg, Atar Baer, Tao Kwan-Gett, and Jeffrey Duchin
<論文の要約>
背景:
学校閉鎖等、社会的隔離がインフルエンザ流行期間の集団感染を緩和する可能性を示す数理的分析結果がある。季節性インフルエンザが流行している期間の学校閉鎖とその後の欠席の関連について、2007年2月19-23日、ワシントン公立学校の半数は冬休みとし、残りの半数は週を通してあるいは週のうち数日だけ学校を開校したという稀な状況があった。これを調査した。

方法:
欠席をインフルエンザ発症者の代用アウトカムとして、休校にした学校は開校し続けた学校に比べて、その後の欠席率が低くなるという仮説を立て検討した。休校した学校(n=256)と休校しなかった学校(n=205)で2007年2月5日から3月9日までの期間、事後あるいは事前調査を日ベースで行った。休校する学校と休校しない学校の欠席のベースラインや、学校側の繰り返し測定の相関をみるために、インフルエンザ大発生後の一日当たり平均欠席について一般化線形方程式を用いてポアソン分布で検討した。

結果:
閉鎖した学校としなかった学校で欠席率に差はなかった(相対危険=1.07、[95%信頼区間=0.91~1.20] )。 この結果は、欠席パターンがインフルエンザの活性をもっともよく象徴すると考えられる小学校をサンプルとした場合でも同様であった(1.00[0.91~1.10])。

結論:
季節性インフルエンザが流行中の休校が、その後の欠席を減らすということは示せなかった。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■時事的なトピックで興味深い。

■ただしエビデンスレベルとしてはかなり低い。生態学的分析のため、限界がある。

■欠席理由を考慮していない(著者は無差別的誤分類のため効果を過小評価している可能性を指摘している。)

■学校の休校に関して地域性の関与が十分考慮されていない。


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