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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2010.3.3

2010年3月3日 担当:安田

Childhood Sleep Time and Long-Term Risk for Obesity: A 32-year Prospective Birth Cohort Study
~ 児童期の睡眠時間と肥満に対する長期リスク:
                         32歳まで追跡したバースコホート研究 ~
出典: American academy of pediatrics 2008;122;955-960
著者: Carl Erik Landhuis, BA, Richie Poulton, PhD, David Welch, PhD, Robert Jone Hancox, MD
<論文の要約>
目的:
児童や成人を対象に不十分な睡眠時間とBMI増加には関係があることが明らかにされてきた。しかしながら、児童期における不十分な睡眠時間が長期に及ぶ影響の重大性を持ちえているのか分かっていない。筆者らはバースコホートを用いて、児童期における睡眠時間と成人期におけるBMIとの関係を調査した。

方法:
本研究の調査対象者は1972年4月から1973年3月までにニュージーランドダニ―ディーンで産まれた一般住民1037名(女性502名)である。両親の報告によって集められた5,7,9,11歳時での就寝時間および起床時間は児童期の睡眠時間として評価された。線形回帰分析は児童期の睡眠時間と32歳で測定されたBMIの関係を解析するために用いられた。

結果:
不十分な児童期の睡眠時間は有意に高い成人期のBMIとの関係を示した。この関係は、成人期の睡眠時間、児童初期のBMI、児童期の社会経済地位、両親のBMI、児童期および成人期のテレビ視聴、成人期の身体活動、成人期の喫煙状況による調整後も有意であった。ロジスッティック回帰分析において、児童期におけるより十分な睡眠時間は32歳時点での肥満オッズ低下と関連が見られた。この関係は多様な交落因子で調整後も有意であった。

結論:
これら知見は児童期における睡眠制限が肥満に対する長期的なリスクを増加させることを示唆している。子どもが適切な睡眠を確保することは最近の肥満傾向防止へ役立つ方略となるだろうことを明らかにしている。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■長期に追跡された貴重なデータ。

■睡眠が少ないことがリスクなのか、その他のことをマーキングしているのか。例えばなる時間が遅かったり、夕食の時間が遅いなど。

■このデータでは、児童期の睡眠時間が非常に長い(13時間)。床につく時間が必ずしも睡眠時間ではないことが本研究の限界として述べられているように、床についても寝ずにいることもあるだろう。睡眠時間をより客観的に測定するか、その他の外性変数を利用できるといい。


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