PAGE TOP

国立大学法人

山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2010.5.12

2010年5月12日 担当:依田

Enhancing Caregiver Health: Findings from the Resources for Enhancing Alzheimer's Caregiver Health II Intervention
~ 介護者の健康増進:REACHⅡ介入の調査結果 ~
出典: J Am Geriatr Soc.2010 January;58(1):30
著者: Amanda F. Elliott, Louis D. Burgio, and Jamie DeCoster
<論文の要約>
目的:
アルツハイマー介護者の健康増進のための介入(REACH)によって、介護者の主観的健康感、負担・悩みの、ベースラインから援助後までの変化の関連を検証することである。

デザイン:
ランダム化多地域臨床試験

セッティング:
アメリカの5都市に居住する介護者と被介護者

参加者:
認知症被介護者と介入を受けている介護者(169人のヒスパニック、160人の白人、そして166人のアフリカ系アメリカ人)と対照群の計495組

介入方法:
介護者は、REACH介入群、あるいは対照群に割り当てられた。
介入群は、個々のリスクプロフィールと6ヵ月にわたって9回の在宅訪問のREACH介入と3回の電話セッションを受けた。対象群は、この6ヶ月間に2回の短い「チェックイン」コールを受けた。

測定:
主要アウトカムは、ベースラインから介入後の介護者の健康状態の変化であった。
副次的アウトカムは、介入後の介護者の負担と悩みであった。

結果:
介入後、介護者は主観的健康感、睡眠の質、身体的健康、情緒的健康が改善し、それは、対照群介護者より、介護者としての負担や悩みが少ないことと関連していた。抑うつの変化は、これらの関連を仲介するようにみえた。
ベースラインと介入後の違いは、人種による変化はなかった。しかし、ベースラインとフォローアップ時点での介護者の総合的な介護の不満・感情的負担・被介護者のADLとIADLに関する介護者の悩みと同様に、身体的・情緒的健康に、いくつかの人種や民族集団の違いがあった。

結論:
5つの対象地域で、介護者のセルフケア行動として構造化された多要素スキルのトレーニング介入を実施した結果、人種的にも民族的にも多様な認知症介護者の負担と悩みを減らし、主観的健康感を改善した。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■日本でも問題となっている介護者へサポートパッケージとしての介入研究であり興味深い。

■介入のefficacy(効能)なのか、effectiveness(効果)研究なのか。

■主要アウトカムが「健康状態」であり、それを測定するために4つのmeasureを用いている。厳密にはタイプ1エラーの可能性の調整など必要。サンプルサイズをどのように見積もったのかなど、RCTに通常記載されるべき事項のいくつかが抜けている。純粋な医学雑誌ではないためか?


前のページに戻る