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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2010.5.26

2010年5月26日 担当:安田

Physical activity and emotional problems amongst adolescents
~ 思春期の身体活動と情緒の関係 ~
出典: Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol 2008 43:765-772
著者: Nicola J.Wiles Gareth T.Jones Anne M.Haase Debbil A.Lawlor Gary J.Macfarlane Glyn Lewis
<論文の要約>
目的:
推奨されている身体活動を行なっている児童の1年後のメンタルヘルスを明らかにする。

デザイン:
コホート研究

セッティング:
イングランド北西部でランダムに抽出された中学校39校

対象者:
11~14歳の児童1446名

介入方法:
介護者は、REACH介入群、あるいは対照群に割り当てられた。
介入群は、個々のリスクプロフィールと6ヵ月にわたって9回の在宅訪問のREACH介入と3回の電話セッションを受けた。対象群は、この6ヶ月間に2回の短い「チェックイン」コールを受けた。

測定:
主要アウトカムは、ベースラインから介入後の介護者の健康状態の変化であった。
副次的アウトカムは、介入後の介護者の負担と悩みであった。

結果:
介入後、介護者は主観的健康感、睡眠の質、身体的健康、情緒的健康が改善し、それは、対照群介護者より、介護者としての負担や悩みが少調整前の解析では、基本的に毎日スポーツを少なくても1時間以上行なっていた児童は1年後のフォローアップ時ではほとんど情緒に関して問題はなかった。この関係は性による調整後、減弱した(女子は男子よりも活動量が少ないが情動問題は多く抱えていた)。ベースライン時の情緒問題を含む交絡因子で調整した後、身体活動推奨レベルに達していた児童は身体活動推奨レベルに達していなかった児童よりも、平均して、1年後のフォローアップ時で情緒問題に関するスコアが全体で0.29下がった(-0.29(95%CI:-0.61-0.022))。身体活動を行なった児童は1年後のSDQ尺度下位因子にある多動のスコアも高かった。しかし、身体活動と他の問題行動との関係を示す結果は見られなかった。

結論:
特に性は交絡因子として大きな影響を示し、調整後には係数の低下が見られたものの、身体活動推奨レベルに達している児童は情緒問題を持ち合わせていなかった。今後の縦断研究では思春期のメンタルヘルスについてライフスタイルとしての継続的な身体活動の効果を検討するためにより高頻度で身体活動と情緒問題の調査を行なうことが必要である。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■20分以上を1セッションとしてカウントしているが、例えば20分でも1時間でも1カウントとして同じに扱われているのかどうかが、明らかではない。

■ベースラインとフォローアップ2時点のSDQ得点(上限・下限がある)の変化量を検討しているが、シーリングやフロア効果等の調整が行なわれていない。ベースライン時でSDQ得点の値を階層化して分析するという方法はどうか。

■参加者のスポーツ活動に正規性が認められない。得られたデータにどのような加工を施し、または加工していないのか解析でのデータ入力方法が不明確である。


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