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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2010.10.13

2010年10月13日 担当:山北

Physical activity, function, and longevity among the very old
~ 高齢者における身体活動が身体機能や生存率に及ぼす影響の検討 ~
出典: Arch Intern Med.(2009)169(16): 1476-1483.
著者: Stessman J, Hammerman-Rozenberg R, Cohen A, Ein-Mor E, Jacobs JM.
<論文の要約>
目的:
高齢者における身体活動の継続、増加、減少が生存率、身体機能、健康状態に及ぼす影響を検討すること。

デザイン:
前向きコホート研究

セッティング:
1990-2008年にエルサレム縦断コホート研究に参加した1861人を対象に、70-88歳までの死亡率と、70歳、78歳、85歳の身体活動レベルと健康指標、併発疾患、機能状態を調査した。また、身体活動レベルの継続、増加、減少、不活動の維持による、それぞれの生存期間、身体機能、健康状態についても調査が行われた。

対象者:
エルサレムに居住する1990年に70歳であった男女、1861名

結果:
「身体活動を行っているもの」は「座りがち」と比較して、70歳からの8年間の死亡率は、15.2% vs 27.2%(p<0.01)と低く、78歳からの8年間の死亡率は、26.1% vs 40.8%(p<0.01)、85歳からの3年間の死亡率は、6.8% vs 24.4%(p<0.01)と同様に低かった。
死亡率のリスクファクターで調整したコックス比例ハザードモデルにおいて、70歳、78歳、85歳での身体活動レベルは死亡率の低下と関連していた(それぞれ、ハザード比 ;95%Cl=0.61;0.38-0.96、0.69;0.48-0.98、0.42;0.25-0.68)。
70歳から78歳の間に身体活動を始めること(p<0.04)、および78歳から85歳の間でPAを始めることと (p<0.001) は、延命と有意に関連していた。
より高いレベルの身体活動への参加は、座りがちであることと比較して死亡率との量-反応関係を示さなかった。
78歳時の身体活動レベルは、85歳時にADL機能を維持していることと関係していた(オッズ比:95%Cl=1.92:1.11-3.33)。

結論:
78歳以上の高齢者においても、身体活動を継続しているだけではなく、身体活動を新たに始めることも寿命を延ばすこと、より良い身体機能を維持することと関係していた。この発見は、78歳以上の高齢者に対しても身体活動を推奨できることを支持するものである。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■運動頻度の各分類の人数が示されていないのはなぜか?
■量-反応関係を述べているのになぜトレンド検定を行っていないのか。
■ADL(自立しているかどうか)を説明変数に入れるでは、どうだろうか。



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