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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2010.12.8

2010年12月8日 担当:芳我

hysical activity and change in body mass index from adolescence to mid-adulthood in the 1958 British cohort
~ 1958年の英国コホートにおける思春期から中年期までのBMIの変化と身体活動の関連 ~
出典: International Journal of Epidemiology, 35, 197-204, 2006.
著者: Tessa J Parsons, Orly Manor and Chris Power.
<論文の要約>
背景:
肥満予防をすべき時期は、小児期である。本研究の目的は、思春期の身体活動の頻度が中年期までのBMIの増加に影響を与えるかどうかを明らかにすることである。

方法:
1958年3月の1週間に生まれたBritish birth cohortの全参加者を対象とし、11歳から45歳までのいくつかの年齢における身体活動の頻度とBMIの情報を得た。思春期の身体活動と16歳(あるいは23歳)から45歳に至るBMIの推移の関係についてマルチレベルモデルを用いて検討した。活動の変化がBMIに与える影響とBMIの変化に与える影響については、一元配置分散分析を用いて検討した。

結果:
11歳の身体活動は、男女ともにBMIの推移に影響を与えなかった。16歳で活動的だった女性は、その他の者よりもBMIの増加がゆっくりであり、16歳から45歳までの間の活動カテゴリ毎にBMIが1年に0.007上昇した。一方、もっとも活動的だった男性は他の者と比べてBMIの増加が早く、活動カテゴリ毎にBMIが1年に0.005上昇したが、23歳から45歳までのBMIの推移に与える影響は認められなかった。また、女性では身体活動の変化がBMI変化に関連し、16歳と42歳で活動的な女性は、活動的でないその他の女性よりもBMIの上昇がゆるやかだった。男性では、調査期間中にはこのような結果は見られなかった。

結論:
身体活動は、思春期以降のBMIの上昇をゆるやかにする可能性があるが、その関係は年齢とともに変化し、思春期後期では男女で逆の関係が認められた。男性の思春期と中年期の間の活動の減少と、女性の不活発な状態がBMI増加を促進していると考えられる。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■大規模コホート研究で、身体活動とBMIの推移との関係を検討した数少ない論文。
■本研究の限界として検討されているが、活動の強度や時間をデータとしていないため、結果の妥当性に疑問が残る。
■男性と女性で身体活動とBMIの増加に逆の関連が見られる理由として、食事量・内容の違い、つまり摂取カロリーの違いがあるのではないか。交絡因子として検討しなかった理由が不明。


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