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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2011.1.19

2011年1月19日 担当:須田

Impact of maternal atopy and probiotics supplementation during pregnancy on infant sensitization: a double-blind placebo-controlled study
~ 母親のアトピー素因と妊娠中のプロバイオティクスサプリメント摂取が乳児期の免疫感作に与える影響について 二重盲検プラセボ比較研究 ~
出典: Clinical and Experimental Allergy, 38, 1342-1348, 2008
著者: Huurre A, Laitinen K, Rautava S, Korkeamaki M, Isolauri E.
<論文の要約>
目的:
乳児の免疫感作について考えられる要因と、プロバイオティクスのアレルギー予防効果について調査し明らかにする。

デザイン:
二重盲検プラセボ比較研究

セッティング:
妊娠初期から完全母乳育児の終了まで、乳酸菌とビフィズス菌を摂取する介入群(72人)と、微結晶性セルロースとブドウ糖を摂取するプラセボ群(68人)を無作為に割り付け、乳児の免疫感作について考えられる要因と、プロバイオティクスのアレルギー予防効果についての調査が行われた。

対象者:
171組の母子

結果:
アレルギー素因のある母親の母乳育児により、乳児の免疫感作のリスクは、トータル6ヵ月以上母乳を与えるとオッズ比は4.83、2.5ヵ月以上完全母乳育児を行うとオッズ比3.4と増加した。
プロバイオティクスサプリメントは、母親の免疫感作に起因して高い遺伝性のリスクを持った乳児の免疫感作に対する保護的な効果(オッズ比0.3)を有していた。母乳中のTGF-β2濃度に関しては、プラセボ群に比べ、介入群の初乳中により高い濃度で存在する傾向にあった。アレルギー素因のある母親のサブグループにおいても、同様の結果が得られた。

結論:
アレルギー素因のある母親の子供は、特に、2.5ヵ月以上完全母乳育児を行った場合や、トータル6ヵ月以上母乳を与えると、生後12ヵ月の時点での免疫感作の高いリスクを持っていた。このリスクは、一部は母乳中の有益な成分の効果であるが、妊娠期と授乳期のプロバイオティクスサプリメント摂取によって減らすことができた。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■この研究は、Effectiveness研究or Efficacy研究か?
■アレルギー素因を客観的な指標で測定していて良い。
■TGF-βについては母乳中濃度が高い方がよいというものもあれば低い方がよいという論文もあり、さらなる研究が必要と思われる。


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