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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2011.7.13

2011年7月13日 担当:陳

Lifestyle Impact on Lifetime Bone Loss in Women and Men The Tromso Study
~ 加齢による骨量減少に対する生活習慣の影響 ~
出典: Am J Epidemiol 2009;169:877-886
著者: Tom Wilsgaard, Nina Emaus, Luai Awad Ahmed et al.
<論文の要約>
背景:
積極的な身体活動、非喫煙と体重の調整は骨の健康に有益な影響を与える。著者らはノルウェーのTromso Studyデータを用いて、生活習慣の最大骨量に対する効果と、生涯を通じた骨量減少に対する生活習慣の効果を推定した。

方法:
1994-1995年に7948名24-84歳の男女を対象として、X線吸収分析器を用いて前腕骨の遠位と遠位端の骨密度を測定した。2001年に6182人の同一被験者に対し、再度測定を行った。

結果:
生活習慣によって、加齢による骨量減少量は違なった。男性では、喫煙せず積極的運動をし、BMI25の群は、喫煙し、運動をあまりせず、痩せている群にくらべ加齢による骨密度の減少は小さかった。女性は男性に比べて加齢による骨密度減少は大きく、また生活習慣による効果は男性と同様であった。80歳における骨量減少による骨密度のちがいは、前腕骨の骨折リスクの大小とも呼応していた。

結論:
非喫煙、高い身体活動レベル、大きな体重は骨量減少を軽減し、骨折リスクを減らすことが両方の性でみられ、それらの生活習慣は、若年の最大時から加齢とともに減少するまで、骨量を増大させる効果があると考えられる。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■生活習慣単独の骨密度に対する効果や、年齢と喫煙による骨密度への回帰は先行研究で既になされている。また、それらの骨密度や骨折リスクに対するメタアナリシスもなされている。著者らは、いくつかの生活習慣と喫煙、年齢の効果を同時に、しかも経時データとして大きなサンプルサイズで研究したことをこの研究の強みとしている。一方で、経時データというものの、2時点でしかこのデータは取られていない。

■著者らは、分数多項式で骨密度の回帰を行ったのち、単に回帰係数を示すことはせず、男性・喫煙者・BMI 25・活発な身体活動をする者、といったプロファイルごとにreferenceのプロファイルに対して骨密度の推定値がどのようであるか、を示す形をとっている。統計用語を羅列するよりこの方が分かりやすい。



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