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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2011.9.14

2011年9月14日 担当:依田

Effectiveness of a specific care plan in patients with Alzheimer's disease: cluster randomised trial (PLASA study)
~ アルツハイマー病患者への特定のケアプランの効果:クラスターランダム化比較試験 ~
出典: BMJ. 2010; 340: c2466. Published online 2010 June 3
著者: Fati Nourhashemi, Sandrine Andrieu, Sophie Gillette-Guyonnet, Bruno Giraudeau, Christelle Cantet, Nicola Coley, and Bruno Vellas, on behalf of the PLASA Group
<論文の要約>
目的:
軽度から中度のアルツハイマー病患者のアルツハイマー病共同研究-ADLスケール(ADCS-ADL)において、メモリークリニックの通常ケアと比較した包括的なケアプランの効果を明らかにする。

方法:
デザイン→クラスターランダム化試験
セッティング→フランスの50のメモリークリニック
参加者→軽度から中度(MMSE得点12-26)のアルツハイマー病患者で、介入群には26のクリニックから574人、通常ケアの対照群には24のクリニックからの557人が参加した。メモリークリニック毎にランダム化を行った。
介入→患者と介護者のための標準化された年2回のコンサルテーションと、アセスメントで明らかになった問題をマネジメントする標準化されたガイドラインを包括的に含んだ介入であった。
アウトカム→主な結果測定は12ヶ月と24ヵ月後のADCS-ADL得点の変化であった。 副次的結果測定は、施設への入所率と死亡率とした。

結果:
2年後、介入群の58.4%(n=335)と対照群61.6%(n=343)が評価を完了した。 2年後のADCS-ADLの低下量は、両群間で有意差はなかった。 ADCS-ADL得点の年次変化は、介入群で-5.73(95%CI -6.89--4.57)で、対照群-5.96(95%CI -7.05--4.86)(P=0.78)であった。

結論:
メモリークリニックの軽度から中度のアルツハイマー病患者に対する包括的な特定ケアプランは、機能の維持について正の効果が見られなかった。 今後の研究では、General Practitioner(医師)のより直接的な介入の効果を見るべきであろう。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■包括的に多種類の内容を対象者の状況に応じて組み合わせて介入しているため、評価が難しい。また、介入は、書類やCD-ROMを用いて標準ケアを医師等に事前トレーニングしているが、その実行の妥当性が保証されていない。

■分析では、欠損値を補填したt検定と、欠損値を補填しないlongitudinal mixed modelの2種類の解析を行って、sensitivity analysisを行っている。

■包括的ケアがADCS-ADL低下予防への効果がないことを示し、医師の介入とその効果を明らかにする必要性を提示した、という意味において研究の意義があったのではないか。




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