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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

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2011年11月16日 担当:山北

Activity energy expenditure and Incident cognitive impairment in older adults
~ 高齢者の活動エネルギー消費量と認知機能障害 ~
出典: Arch Intern Med. 171(14):1251-1257. 2011
著者: Middleton LE, Manini TM, Simonsick EM, Harris TB, Barnes DE, Tylavsky F, Brach JS, Everhart JE, Yaffe K.
<論文の要約>
背景:
活動的な人は高齢期に認知機能障害の発生率が低いことが示されている。しかしながら、これらの研究は客観的な指標と中程度の相関しかない質問票による身体活動を評価したものに限られ、多くの場合、頻度や時間などで簡単に定量化することができない身体活動は含まれていない。本研究の目的は、客観的に測定した身体活動によるエネルギー消費量 (AEE) と認知機能障害の発生率との関連を明らかにすることである。

方法:
ベースライン時 (1998-1999) に運動機能障害および認知機能障害のなかった197名の男女(平均年齢74.8歳)において、総エネルギー消費量(二重標識水法を用いた2週間の測定で評価)の90%から安静時代謝量(間接的カロリー法で測定)を引いたものをAEEとして算出した。認知機能はベースライン時と2年または5年後に修正版MMSEを用いて評価した。認知機能障害はベースライン時から1.0SD (9.0点) 低下しているものと定義した。

結果:
ベースライン時のMMMSE、特性(年齢、教育レベル、性、人種、地域)、徐脂肪量、睡眠時間、主観的健康度、糖尿病で調整後、年齢別に三分位に分けた最も高いグループの高齢者は、最も低いグループと比較して低いオッズ比を示した。また、AEEと認知機能障害の発生率には有意な量反応関係がみられた。

結論:
本研究の結果は、より高いAEEが用量反応的に認知機能障害の発生を防ぐ可能性を示した。高強度運動あるいは低強度運動に対して、活動全体の重要性が解明されるべきである。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■オッズ比の信頼区間が広すぎるため、インスタルメンタルバリアブルを用いるなど、因果推論力を高める解析を行う必要がある。

■70歳以上の高齢者を対象にしており、身体活動量のMiddle群とHighest群にそれほど差がみられないことから、三分位に分けずに、二分位で解析しても良いのではないか。

■身体活動量の評価として妥当性の高いDLW法を、200名の高齢者に対して実施したことはインパクトがある。




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