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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2012.1.11

2012年1月11日 担当:藤井

Women's Dietary Patterns Change Little from Before to During Pregnancy
~ 女性の食事パターンは妊娠前から妊娠中においてもわずかの変化である ~
出典: The Journal of Nutrition 139:1956-1963 2009
著者: Sarah R.Crozier,Sian M.Robinson,Keith M.Godfrey,Cyrus Cooper,and Hazel M.Inskip
<論文の要約>
目的:
妊娠期間中に食事のパターンは変化するのか。妊娠初期、後期の食事パターンの評価は、素点と応用得点のどちらの評価が望ましいかを調べること。

方法:
デザイン : 前向きコホート研究
セッティング : サウサンプトン、イギリス
対象者 : 20-34歳の12,572名の妊娠していない女性について FFQを使い算定し、3期間(妊娠前、初期、後期)すべてのデータが揃った2057名が解析対象。
研究期間 : 1998年~2002年

結果:
・主成分分析により、倹約食と高エネルギー食の2パターンが見出された。
・主成分分析の得点の素点は、平均値をゼロに定義して算出し、応用得点は、妊娠する前の得点の標準偏差をもとにしているが、いずれにおいても、妊娠前、妊娠初期、妊娠後期において、3期間のいずれも高い相関を示した。
・Bland-Altmanの95%許容範囲(限界)を用いて、2期間の誤差についてみると、妊娠した人たちの応用得点と妊娠前の得点間の差が一致し、倹約食の食事得点の変化は少なかった。
・妊娠前と比較して、妊娠前期の高エネルギー食得点は全体的に変化していないが、妊娠後期の高エネルギー食得点は増加している。

結論:
・妊娠前と初期、後期のFFQからの主成分分析のデータは、倹約と高エネルギーの食事パターンを明らかにした。応用得点は、長い期間の変化を解析する平均値として、素点より優先される。
・倹約食の応用得点は、妊娠前と比べると妊娠中非常にわずかに減少し、妊娠後期の高エネルギー食の応用得点はわずかに上昇しており、総合的にはわずかな変化を表していた。女性たちの関心事である妊娠中の全体の食事の改善には使えないことが限界である。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■妊娠期間中の個々人の食事のパターンはあまり大きく変化するものではないことが確認できた。
■素点と応用得点について、ほとんど差がないといっていい結果だったのではないか。
■個人の食事スコアーの追跡には、しばしば、個体内の相関が用いられ、線形回帰で推測するが、測定する期間の長さの影響についての配慮はない。期間ごとのパターンスコアを一貫して検討するには、Bland-Altmanの分析を使うことは有効かもしれない。



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