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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2012.6.6

2012年6月6日 担当:山北

Combined impact of five lifestyle factors and subsequent risk of cancer: the Japan Public Health Center Study.
~ 5つの健康的な生活習慣とがんの発症リスク:多目的コホート研究(JPHC Study) ~
出典: Prev Med. 2012, 54 (2): 112-116.
著者: Sasazuki S, Inoue M, Iwasaki M, Sawada N, Shimazu T, Yamaji T, Tsugane S; JPHC Study Group.
<論文の要約>
目的:
5つの健康的な生活習慣の組み合わせ(たばこを吸わない,適度な飲酒量,塩分控えめの食事,習慣的な運動,適正なBMI)が,がんの発症リスクを下げるのかを検討すること。

方法:
対象者はJPHC研究に参加し,1995-1999年に生活習慣に関する質問調査に回答した45-74歳とした。がんの発症は病院からの報告とがん登録をリンケージした。質問の調査項目は社会人口学的特性,既往歴,喫煙・飲酒習慣,食生活,運動習慣とした。コックス比例ハザードモデルを用いて,がん発症の相対危険を5つの生活習慣因子の組み合わせ,各生活習慣因子別に検討した。また人口寄与危険割合を算出した。

結果:
2006年12月31日までの追跡期間中,男性で3451名,女性で2125名が新たにがんを発症した。男女ともに,健康的な生活習慣とがんの発症に対して,生活習慣依存的なリスクの減少が観察された。調整相対危険 (95%信頼区間) は,健康的な生活習慣の数が0-1個の人と比較して,男性では,2,3,4,5個の人でそれぞれ,0.86 (0.78-0.95), 0.72 (0.65-0.80), 0.61 (0.54-0.69), 0.57 (0.45-0.72) であり (P for trend=0.0001),女性では,0.86 (0.53-1.40), 0.73 (0.46-1.16), 0.68 (0.42-1.08), and 0.63 (0.39-1.01)であった (P for trend=0.0003)。健康的な生活習慣を1つ実践することにより,男性では14%,女性では9%リスクが減少した。リスクの減少は高齢女性で顕著であった。

結論:
これらの健康的な生活習慣の組み合わせはがん予防に対して,多大な影響を与える。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■身体活動を同じ基準で評価しているが,年代別に細かく層別化した方が良いのではないか。

■人口寄与危険割合を算出していることは,公衆衛生学上,非常に重要である。

■コホート研究はアウトカムの設定,信頼性が重要となるが,がん登録や死亡個票が使用できることは強みである。

■日本のフラミンガム研究といえるのではないか。

■非常にきれいな結果である。


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