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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2012.6.27

2012年6月27日 担当:依田

Effectiveness of dementia follow-up care by memory clinics or general practitioners: randomised controlled trial
~ 記憶外来あるいは一般開業医による認知症のフォローアップケアの有効性:無作為化比較研究 ~
出典: BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3086 (Published 15 May 2012)
著者: Els J Meeuwsen, René J F Melis, Geert C H M Van Der Aa, Gertie A M Golüke-Willemse, Benoit J M De Leest, Frank H J M Van Raak, Carla J M Schölzel-Dorenbos,  Desiree C M Verheijen, Frans R J Verhey, Marieke C Visser, Claire A Wolfs,  Eddy M M Adang, Marcel G M Olde Rikkert,
<論文の要約>
目的:
一般開業医(GP)と比較し、記憶外来(MC)の認知症診断後の治療とケア調整の有効性を検証する。

デザイン:
多施設無作為化比較研究

設定:
オランダの9のMCと159のGP

参加者:
新たに軽度及び中等度の診断を受けた地域在住の認知症患者175人とその介護者

介入:
MCやGPによって通常ケアが提供された

メインアウトカム指標:
アルツハイマー病のQOL測定尺度(QOL-AD)を用いて、介護者が測定した患者のQOLと、SCQを用いて介護者の負担感を測定した(ITT解析)。

結果:
MC群患者のQOLは、GP群に比べて0.5点(95%信頼区間-0.7~1.6)高かった。介護者の負担はGP群に比べてMC群では、2.4点(-5.8~1.0)低かった。

結論:
認知症患者の診断後の治療とケア調整に関して、MCはGPより効果的であるとはいえなかった。病院形式の有効性に関するさらなるエビデンスがなければ、他の要因、例えばコストの最小化、患者の嗜好、地域保健サービス計画等によって、提供する認知症ケアの種類を決定できる。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■MCは、日本における「もの忘れ外来」に当たると思われる。認知症に対して専門的な診断を主とする施設。この研究は、現在、MCが診断だけではなく治療やケアを提供するようになったことから、GPとの違いを明らかにするため、RCTで検証した。

■対象者をMCで診断した後、MCかGPに割り付ける方法をとっているが、地域在住の認知症患者のフォローアップは身近な医療機関で実施するのが現実的であるため、倫理的問題はないと考えられる。

■欠損値の取扱いについては、非常に詳細に述べている(ここまで述べている文献はあまりない)。

■table2のアウトカムデータは、感度分析後の結果か。そうであれば、欠損値を最終データあるいは他群の平均値での置き換える2方法で実施しているので、いずれかを明示した方が良い。

■アウトカムがかなり多いので、多重比較により有意差が現れる可能性がある。


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