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山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2012.7.11

2012年7月11日 担当:陳 揚佳

Revised Reference Curves for Bone Mineral Content and Areal Bone Mineral Density According to Age and Sex for Black and Non-Black Children: Results of the Bone Mineral Density in Childhood Study
~ 黒人と非黒人子どもたちの年齢と性別による骨塩量と面積骨密度の改正後基準曲線 ―子どもの骨密度研究結果から ~
出典: Heart; 2012; 98: 920-925
著者: Kuanrong Li, Rudolf Kaaks, Jakob Linseisen, Sabine Rohrmann
<論文の要約>
背景:
成長期で骨の欠損は骨折リスクを増加する可能性がある。小児期の骨の健康評価は、年齢、性別、人口に対して適切な基準値を必要とする。この研究の目的は子どもの骨塩量(BMC)と面積骨密度(aBMD)の改訂と拡張の参考曲線を提供することである。
方法:
アメリカの五つの臨床センターで多民族、健康で正常な子どもを対象として年次調査を行った。
骨の測定はdual-energy x-ray吸収測定法(DXA)により、全身、腰椎、前腕、左大腿近位部の骨塩量を測定した。身長、体重、BMIのZ-scoreは、疾病管理予防センターから2000年成長グラフを用いて計算した。質問紙により、標本の取られた地域、人種を尋ねた。思春期段階はTannerの基準に従って判定した。最小二乗法を用いて、各測定部位の骨塩量と面積骨密度参考曲線を構築した。混合効果モデルによる回帰分析を用いて、Z-scoresを検定した。
結果:
人種・性別に、5-20歳の子どもの全身、頭部以外の全身、腰椎、大腿骨、大腿骨頸部、前腕の骨塩量、面積骨密度曲線を構築した。曲線は、7-17歳を対象とした先行研究による曲線と類似していた。すべての測定部位において、黒人の子どもたち骨塩量値と面積骨密度値は非黒人より大きかった。

結論:
本研究は、2012名の小児と思春期児の縦断調査によって、DXAの参照データを提供した。この参考曲線は、これまでの研究における未成年の骨の健康の評価とモニタリングのための最も確かな参考値を提供するものである。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■骨密度を測定するDXA法とQUS法は何がちがうか。→DXA法はX線を使う。QUS法は音波の速度を測る。X線が直接骨密度を測るのに対し、音波はその速度を計算して、間接的に骨密度を計算する。この2つの方法で計算される骨密度の値は結構ちがう。

■最小二乗法をどのように用いたのか。→子どもの骨密度の100分位を出すための標準偏差を計算する際に使われている。これは方法論の先行研究に従っている。

■非黒人の中で、人種差があるか。→この研究では、ヒスパニックと白人を分けず、non-Blackで検討している。もちろん、ヒスパニックと白人で骨密度の成長曲線は異なると考えられる。この研究ではヒスパニックはごく少数であるから、non-Blackはほぼ白人の子どもの結果と考えられる。なお、黄色人種でこのような骨密度成長の参照値となる文献はない。


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