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山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2012.7.19

2012年7月19日 担当:井川

Can the higher risk of disability onset among older people who live alone be alleviated by strong social relations? A longitudinal study of non-disabled men and women.
~ 独居高齢者の身体機能低下のリスクは社会関係の強化で緩和できるか? 身体機能低下のない男女の縦断的研究 ~
出典: Age and Ageing 2010; 39: 319-326
著者: L. Rikke, J. N. Charlotte, A. Kirsten.
<論文の要約>
背景:
独居高齢者の身体機能低下の増加を、社会参加や社会関係への満足度を強化することで緩和できるかどうかを明らかにする。
方法:
デンマークのPreventive Home Visits(予防のための訪問調査)の縦断研究データを用いて、ベースライン時に身体機能低下のない75歳と80歳の男女高齢者2,697人を対象にロジスティック回帰分析を行った。3年後の身体機能低下の有無を従属変数、性別、社会参加の有無、社会関係への満足度、世帯構成を主な説明変数とした。
結果:
男性で独居、社会参加が低いことは身体機能低下のオッズ比が有意に高かった。社会関係への不満足は男女とも身体機能低下に著しく関連していた。女性では社会参加と身体機能低下の間に目立った関連はなかった。
結論:
独居男性は社会活動や社会関係への満足度を得ることで身体機能低下のリスクを緩和することがで きるかもしれない。独居女性や社会関係に不満足な女性は身体機能低下のリスクがあるが、同居することが男性よりも有効であるとはいえない。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■単回帰分析と重回帰分析の結果の両方が載っているが、変数の影響をどう解釈するか。
→一つの変数におけるオッズ比を見たい場合は、単回帰分析の結果をみる。但し、この文献では単回帰は粗オッズ比でしかないためここから結果は言えない。また、複数の変数を組み合わせた重回帰の相乗効果としての結果を出していることがこの文献の強みである。

■変数減少法、増加法、ステップワイズ法、総あたり法についての確認を行った。

■交絡因子の影響を取り除く手法として、層別化、変数に組み込んで調整する方法の確認を行った。

■中間変数について:中間変数は完全な中間変数であるないに関わらず、また交絡の調整をするしないや、調整方法によって、結果に様々なバイアスをもたらす。


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