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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

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2012年7月25日 担当:Wei Zheng

Body Mass Index and Timing of Pubertal Initiation in Boys
~ 男の子のBMI と思春期の始まりのタイミング ~
出典: Arch Pediatr Adolesc Med. 2010;164(2):139-144.
著者: Joyce M. Lee, MD, MPH; Niko Kaciroti, PhD; Danielle Appugliese, MPH; Robert F. Corwyn, PhD;Robert H. Bradley, PhD; Julie C. Lumeng, MD
<論文の要約>
背景:
USの子供の肥満率は急激に上昇している。多くの文献では、女の子の思春期の始まる年齢は体脂肪の量と負の関係が示した。それに対して、男の子に関する研究は少ない。そこで、この縦断研究では、USの男の子が11.5歳の時思春期に入るかどうかと、2歳から11.5歳までのBMIトラジェクトリの関係を調べた。
方法:
■デザイン:前向き縦断研究
■セッティング:USの10地区でNational Institute of Child Health and Human Development Study of Early Child Care and Youth Developmentという研究を行った
■対象者:705名の参加者のうち、身長体重と思春期の発達段階の情報が揃った401名の男の子。
■主な暴露:2歳, 3歳, 4.5歳, 7歳, 9歳, 9.5歳, 10.5歳と11.5 歳の時の身長と体重から作成したBMIのトラジェクトリ。
■主なアウトカム:Tannerの性成熟度分類によって、11.5歳の時、思春期に入るかどうか(2値)
結果:
BMIが最も低いトラジェクトリ(11.5歳の時のBMI z scoreの平均値は-0.76)の子に比べて、BMIが最も高いトラジェクトリ(11.5歳の時のBMI z scoreの平均値は1.84)の男の子は、11.5歳時に思春期前である相対リスクが高い(調整した相対リスクは2.63、95%の信頼区間は1.05-6.61,p=0.04)。
結論:
男の子で、体脂肪と思春期の始まりのタイミングの関係は、女の子と違う。男女ともに体脂肪と思春期の始まりのタイミングについての生理的メカニズムに関するさらなる研究が必要である。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■アウトカムとしての思春期発達段階の評価は11.5歳の時のTanner分類結果だけ利用した。9.5歳と10.5歳のTanner分類結果も調べたはずだ。この二つの時点の各思春期発達段階の割合を記述したほうが説得力が上がるはずだ。

■この研究の結果によって、BMIが高いほど、思春期遅発になりやすいと考えられる。非白人の子は白人の子よりBMIが高いが、リスクを調整した結果から、非白人の子は思春期遅発になりにくい。人種の違いは大きいと考えられる。

■Income-to-needs ratioの計算方法を例で説明する。例えば、2001年に、年収$56000の4人家族がいたとする。この家計単位の当年の貧困の閾値は年収$17960である。この家庭のIncome-to-needs ratioは$56000/$17960=3.12。つまり、Income-to-needs ratioは1より低い家庭は貧困家庭と考える計算になる。


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