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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2012.11.28

2012年11月28日 担当:高橋敦宣

Short-term metabolic changes achieved by weight loss in hypertensive patients
~ 高血圧患者の体重減少による短期の代謝変化 ~
出典: International Journal of Cardiology 153 (2011) 286-290
著者: Alberto Cordero, Vicente Bertomeu-Martínez, Pilar Mazón, Diego Martín-Raymondi, Jose Luis Palma,Manuel Anguita, Iñaki Lekuona, Enrique Galve, José R. González-Juanatey
<論文の要約>
背景:
高血圧患者のグルコースと脂質の代謝異常は心血管での上昇と高い関連がある。そして空腹時血糖異常impaired fasting glycemia (IFG)と耐糖能異常 impaired glucose tolerance (IGT)は糖尿病の新規発症へと高いリスクが存在する。本研究の目的はグルコースの代謝異常とそれによる短期間の体重減少への影響を記述することにある。

方法:
高血圧患者を対象に6ヶ月の多施設前向き研究がおこなわれた。400名の心血管医をランダムに選び本研究に招いた。2093名のうちミッシングデータによって除外された136名を除いた1957名の患者をフォローアップした。そのうち完全に追いかけることができたのは1682名(85.9%)である。患者は18歳以上で高血圧の診断があり、研究の参加に同意したものが対象となった。

結果:
高血圧患者1957名(男は59.9%)は平均66.3歳が組み入れられた。フォローアップ期間の平均は5.9ヶ月。これらの患者の臨床的特徴はスペイン全体の人口と一致した。平均体重減少は0.7kg(BMI換算 0.25)。全体のなかで14.9%が5%以上の体重減少、4.4%が5%以上の体重増加をしている。5%以上体重が減少した者はそうではないものと比較して空腹時血糖が2倍程度正常化した。コホート全体では空腹時血糖の大きな減少が観察された。

結論:
高血圧患者のなかでグルコースと脂質の代謝異常はとても普及している。そしてもし短期間で5%以上体重が減少すると著名な改善が見られる。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■治療に用いられている薬剤の一部(glitazones)が循環器系への副作用をもつことが知られている。これは研究の安全性に問題があることにはならないか。

■表をみることで糖尿病治療に利尿剤が用いられることが見て取れる。日本に比べて海外で利尿薬が降圧治療に頻繁に用いられている様子がわかる。

■心血管医がどこからランダムサンプリングされたのか、ランダムサンプリングの種類は何であるのかを明記すべきだ。



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