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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2013.2.20

2013年2月20日 担当:野田

Quality of Early Maternal-Child Relationship and Risk of Adolescent Obesity
~ 早期の母子関係の質と思春期の肥満 ~
出典: Pediatrics. 2012 Jan;129(1):132-40.
著者: Anderson SE, Gooze RA, Lemeshow S, Whitaker RC.
<論文の要約>
目的:
思春期の肥満が早期の母子関係の質と関連しているか調べること

方法:
the Study of Early Child Care and Youth Development における1364の参加者のうち977人を対象に解析した。15、24、36か月の時に、母子の相互関係を観察することによって、愛着保護と、母親の思いやりについて評価した。3段階の月齢を通じて、安心感のない愛着や、低い母親の思いやりの経験の回数として、母子関係の質スコアを作った。思春期の肥満を、15歳における95パーセンタイル以上のBMIで定義した。

結果:
母子関係の質が貧しい人が24.7%。愛着保護が低かったり、母親の思いやりがなかったりしなかった人が22.0%。思春期の肥満の有病率は、母子関係の質スコアが3以上、2、1、0それぞれに対して、26.1%、15.5%、12.1%、13.0%。貧しい母子関係の思春期の肥満に対する調整オッズ比は、2.45(1.49-4.04)で、母親の思いやりの方が、愛着保護よりも関係が強かった。

結論:
早期の母子関係の貧しい質は、思春期の肥満の高い有病率と関連があった。母子相互作用の質を向上させるような介入は子供の体重に対する影響の評価とストレス反応や感情制御を含む潜在的なメカニズムの調査のために考慮すべきである。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■異なる指標を組み合わせて、新しいスコアを作ることに無理がある。解釈が難しい。ただし、発達段階に応じて、母子関係で評価すべき項目が違うので、仕方ない面もある。

■母子関係を、実際に映像によって直接評価することは重要であり、時間やコストをかけてそれに取り組んだ、本研究は評価できる。

■交絡因子について、曝露とアウトカムとの関連を並べて示した表は新しい。最終モデルよりも、さらに調整したモデルの結果も載せていて、共変量の中間因子としての可能性を示している。



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